現在の販売主力モデル
最軽量990Sの魅力的な内容

 990SはSをベースに、リム幅を6.5Jから7Jへと拡大しながら4輪で3.2kgの軽量化を実現したレイズ製ホイールと、ローター径を14インチから15インチに拡大し、さらにキャリパーを軽量化したブレンボ製ブレーキを装備。バネ下重量の軽減を図った。サスペンションはスプリングを強化しつつダンパーの減衰特性をマイルドにしている。これに合わせて1.5Lエンジン(132ps/152Nm)も、より小気味よく走れる設定に見直された。

 Sと990Sを乗り比べると、思ったよりも違いがあって驚く。まず、ND型全般に見受けられた、ステアリングとタイヤの間で何か挟んでいるような感覚が払拭された。1stロードスター(NA型)をドライブしたときに感じたダイレクト感が蘇っている。ホイールのリム幅拡大も効いて、グリップ感も高い。乗り味には全体的にフラット感があり、ブレーキング時のピッチングも小さくなった。さらにコーナリング時にフロント内輪が浮き上がる感覚も薄れている。スタビライザーがなくても、ここまで仕上げたことに驚いた。

 ベース車との価格差は20万円あまり。ロードスター・ファンの間で評判が評判を呼んで、発売以降990Sの販売比率が圧倒的に高くなっているというのも納得だ。

 一方、懐の深い足まわりで動きも素直なSスペシャルパッケージをはじめ標準モデルのまとまりのよさもあらためて見直した。とにかくKPCの採用を大いに歓迎したい。

 エンジンについては、2018年の改良時に劇的に改善された。このとき、日本仕様ではRFのみに搭載される2Lユニットのほうが進化幅が大きく、ソフトトップが搭載する1.5Lエンジンは、あまり話題にならなかった。だが数値的な向上代は、最高出力で1ps、最大トルクは2Nmと微々たるものだが、ドライブすると明らかに違う。7500rpmまで振動もなくスムーズに回るようになった。今回もドライブして、あらためてそのよさを確認した。パワーはそこそこだが、よく回り、小気味よく走る。

 マツダとしては、ソフトトップには元気なエンジンとの組み合わせで乗って欲しいとの思いから、現状は1.5Lのみの組み合わせとなっている。だが一般道はまだしも、高速道路ではストレスを感じることもしばしば。好みは分かれるところだろうが、もし選べるなら個人的には2Lがほしい。パワーの余裕が、新たな魅力を付加するに違いない。