権力や権限を手にしたとき、
誘惑に打ち勝つことができるか

 権力や権限を持った瞬間、周囲の見る目が変わります。当然、接し方も変わる。

 そのときに、以前と同じようにしていられるか。周りがチヤホヤするからと、威張りはじめたり、調子に乗ったりしないか。

 ポジションだけではありません。発注権限を持ったせいで、人が変わるケースもよくあります。必死に売り込む相手の足下を見て、不遜な態度で接したり、妙な注文を付けていたりしないか。こういうところでも、試されていくのです。

 また、権力や権限を持つと、誘惑が常につきまといます。ニュースでときどき、業務上横領や、受発注をめぐった賄賂の受け取りなど、企業や組織の不祥事が報道されますが、これも結局、試された結果堪えることができなかった、ということでしょう。

 誘惑に襲われたときに、しっかりと自分を律することができるかどうか。

 みんなやっているとか、バレなければいいなどと流されずに、モラルに反することはやらない、と踏ん張れるか。こういうところで「心の成長」が問われるのです。

 これは、組織の人間に限った話ではありません。フリーランスでも、仕事がうまくいくと、勘違いをする人がいます。傍若無人な振る舞いをしたり、人を見下したり。

 うまくいきはじめたときに加えて、うまくいかなかったときも注意のしどころです。そこでふてくされたり、クサったりしたらおしまい。

 そんなとき「ああ、また試されているな」と気づけるかどうか。それができた人だけに、次のチャンスが訪れます。だからこそ、人間力を磨いておく必要があるのです。