本書の要点

(1)善玉菌が腸内で作る代謝物質「短鎖脂肪酸」は、腸だけでなく全身によい影響を与えてくれる、万能薬のような物質だ。
(2)腸内環境を整えるには、善玉菌が増える食生活を心がけることに加え、腸のぜん動運動を促すことが不可欠である。
(3)「超動きがいい腸」にするには「腸元気体操」と「腸のクリーニングスープ」がおすすめだ。

要約本文

◆腸内細菌の役割
◇体を不調から守る

 腸内細菌、善玉菌、悪玉菌といった言葉を耳にすることは多いものだが、それらの意味を理解している人は少ないだろう。「とにかく腸内の善玉菌を増やせば、便秘が解消して体調がよくなるんでしょ」といったイメージかもしれない。要約ではまず、腸内細菌について紹介しよう。

 腸内細菌は微生物だ。もし、あなたの腸から腸内細菌が一切いなくなったら、便秘がちになってお肌の調子が悪化したり、ビタミンが不足してさまざまな不調が起きたり、感染症やうつ、がんになりやすくなったりする。

 腸内細菌は腸の中でエサとなる物質を取り込み、代謝産物を出し、分裂してその数を増やしている。何度か分裂を繰り返すと細菌は死に、便の一部となって体外に出ていく。私たちと同じように、細菌も食べては出し、仲間を増やして死んでいくのだ。

◇健康の万能薬「短鎖脂肪酸」を出す

 腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類に分けられる。善玉菌が増えると、便秘・下痢が解消する、お肌のコンディションがよくなる、肥満を防ぐなどといったうれしい効果がある。

 善玉菌は野菜や果物に含まれる水溶性食物繊維などをエサとして食べて、代謝物質「短鎖脂肪酸」を出す。「短鎖脂肪酸」は、腸だけでなく全身によい影響を与えてくれる、自前の万能薬のような物質である。