終電ギリギリまで残業しているのに仕事が終わらない人と、必ず定時で帰るのに成績No.1の人。この差は一体何だろう? 努力が成果に反映されない根本的な原因はどこにあるのだろうか? そんなビジネスパーソンの悩みを本質的に解決してくれるのが、大注目の新刊『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』
著者は、東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の北の達人コーポレーション(東証プライム上場)社長木下勝寿氏だ。
今回から、本書の発売を記念し、ビジネスパーソン「あるある」全20の悩みをぶつける特別企画がスタートする。経営の最前線で20年以上、成果を上げられる人と上げられない人の差を徹底研究してきた木下社長にロングインタビューを実施。注目の第1回目は、「めんどうな仕事を押しつけられる雑用係」になってしまった場合の対処法について、教えてもらった。(構成・川代紗生)

これさえやれば「一人勝ち」できるたった1つの超簡単仕事術

「一人勝ちできる仕事」を見つけるための7分類

──『時間最短化、成果最大化の法則』では、できる人の「思考アルゴリズム」の一つとして、「めんどうくさければGO!の法則」が紹介されていました。

 他人を出し抜きたい、仕事で一人勝ちしたいと思ったら、とにかく「やるべきだが、誰もやらないめんどうくさいこと」をやれ、と。

木下:ええ。で書いたことを簡単におさらいすると、仕事には、3種類あります。

1.「やるべきこと」
2.「やりたいこと」
3.「やれること」

 この3つを重ね合わせると、仕事は次のように7つに分類できます。

★1.やるべきで、やりたくて、やれること=最高の仕事
★2.やるべきで、やりたいこと=楽しい仕事
★3.やりたいが、やる必要のないこと=自己満足の仕事
★4.やりたくて、やれるが、やる必要のないこと=ただの趣味
★5.やれるが、やる必要のないこと=ムダな仕事
★6.やるべきで、やれること=ラクな仕事
★7.やるべきだが、誰もやらない「めんどうくさいこと」=一人勝ちできる仕事

 多くの人は「やりたいこと」「やれること」しかやりたがらないので、「やるべきこと」なのに、「やりたいこと」「やれること」ではない「7.」の仕事は、ほぼスルーされてポツンと1か所残り、仕事が完成しないので成果が出ない。

 よって、誰も手をつけないこの仕事を率先してやると、他人が出せない成果を出せる。そういうお話でしたね。

評価されない仕事をやり続けて損してる?
不安になったときにするべき一つの問いかけ

──「人がやりたがらないことをやれ」って、根性論としていわれることはよくあるけど、ここまで論理的な解説を見たのは初めてだったので、すごくびっくりしました!

 ただ、誰もやりがたらない仕事を引き受け続けていたら、「職場の雑用係」になってしまった……というケースもありますよね。

 スキルアップにつながる仕事を任せてもらえず、まわりの尻拭いばかり。

 自分がそうなってしまったら、どうしたらいいでしょう?

木下:基本的には、そのままでまったく問題ないと思います。

──問題ないですか? 雑用係でも?

木下:というのも、「上司目線」と「同僚目線」、どちらにフォーカスするかによって、その状況への見方はガラッと変わります

「同僚目線」で考えると、「めんどうくさいことは全部あいつに押しつけとけばいいや」となめられている気がしてしまいますが、「上司目線」で見れば、「あいつがいるからこの仕事は回っている」という評価になる。

──なるほど。

木下:もし、それで上司に評価してもらえないのだとしたら、「そもそもやる必要のない仕事をやってしまっている」か「上司がポンコツ」か、どちらかだと思います(笑)。

──自分では必死にやっているつもりだけど、「どうでもいいムダな仕事に、やたら時間かけちゃってる」場合もあるんですね。

木下:ええ。なので、「自分、雑用係になっちゃってるかも?」「評価されない仕事を延々とやってて、損してるかも?」という不安があるなら、まずは、「本当にやるべき仕事なのか?」という問いかけをしてみるといいと思います。

 仕事って、一つの要素だけでできているわけではなく、いくつもの要素で構成されています。

 そのうち、やってもやらなくても成果が変わらない仕事に意識を集中させてしまっていたら、やっぱり、まわりからは評価されにくくなりますよね。

──たしかに。

木下:でも、「やるべき仕事」なら、それがどれだけめんどうくさいことだったとしても、絶対に誰かがやらないと、仕事全体が回らなくなる。

 そういうことを率先してやる人こそが、職場の要になるんです。

優秀じゃない人には「尻拭い」はできない

木下:私も、2002年に「北の達人コーポレーション」を設立して以来、長く経営者として仕事しているわけですが、「どの社員を幹部にするか」を考えたとき、いちばん重視するのは、「みんながやりたがらない仕事をやっているかどうか」なんです。

 たとえば、10の要素で構成されているプロジェクトがあるとしますよね。

 10をすべてやり遂げないと仕事は成り立たないのに、ほとんどの人は自分のやりたいことしかやらないから、10のうち、絶対に残っちゃう「1」が発生するんですよ。

 その「残った1」をできる人、つまり、尻拭いできる人が、いちばん優秀なんですよね。

──「残った1」が発生するって、あるあるですよね。

「誰かやれよ」みたいな空気が職場に漂い始めて……。

木下:結局、尻拭いって、「誰かができない仕事を代わりにやってあげる」ことだから。

 優秀じゃないと、尻拭いなんてできない

──じゃあ、尻拭いしているのは「優秀な証拠」だと思っていいのでしょうか?

木下:仕事なんて、上にいけばいくほど、ほとんど尻拭いですよ(笑)。

 部下の尻拭いを管理職がして、その管理職ができないところを、経営者がカバーして……。

 尻拭いする人がいない組織は、回りません。

 世の中には自分の尻を拭ききることができない人が大半なので、人の尻まで拭ける人は、超優秀なんですよ。

──なんだか、「尻拭い」という言葉が、“ポジティブ”に感じてきました。

木下:仕事って、「プレイヤー」としての仕事と、「マネージャー」としての仕事、2つのレイヤーに分かれます。

 実際に、プレイヤーの仕事だけしていればOKなのは、せいぜい社会に出て5年くらいまで。それ以降は、絶対にマネジメントの領域に入っていかないと、キャリアアップは難しい。

 逆にいえば、プレイヤーの段階から他人の尻拭いをしている人は、マネジメントの仕事が向いているんですよ。

 同僚目線で自己評価する必要はまったくないです。

 同僚になめられたからって、どうってことない。

 上司からすれば、まわりの尻拭いしている人の方が圧倒的に評価が高いわけですからね。

(本稿は、『時間最短化、成果最大化の法則』に掲載されたものをベースに、本には掲載できなかったノウハウを著者インタビューをもとに再構成したものです)