退職代行サービス利用時の
具体的な流れと注意点

 最後に、退職代行サービスの詳細と利用時の注意点について指摘したい。

 まず、退職代行サービスの具体的な内容についてだが、筆者の法律事務所では次のような流れで行っている。

 弊所への依頼はLINEのみで行っている。LINEで問い合わせを受けたら、弁護士との面談日程を調整し、その後、入金確認ができたら、弁護士と面談を行う。

 面談では、まず本人確認を徹底している。このサービスは第三者になりすますことで悪用ができてしまうからだ。

 その上で、職場に弁護士から連絡を行う日程等の打ち合わせ、退職理由についての確認、退職の意思が固いことの確認を行う。

 面談でよくある相談としては、有給休暇の消化、退職日がいつになるか、損害賠償リスクがあるのか、というものが挙げられる。

 有給休暇については、就業規則に定めがないとしても、法令で定められている日数を労働者に職場が与えなければならない。

 退職日については、案件の内容に応じて弁護士が職場と交渉を行う。

 損害賠償リスクについてはもちろん案件にもよるが、弊所ではこれまで一度も職場から労働者に損害賠償請求をされたケースはない。そうならないように面談の際にサービス利用者と綿密な打ち合わせをしているからだと思われる。

 その後、弁護士からお客様の勤務先へ退職を行うという連絡を行う。もちろんサービス利用者から会社に退職の意向を伝える必要はない。

 その後、引き継ぎや離職票発行、保険証返却、退職金や有給休暇の消化などもろもろの手続きを弁護士と勤務先で確認を行い、退職完了となる。

 最近では、無免許の退職代行会社に依頼を行った結果、退職代行会社が職場に連絡を行わず無断欠勤扱いになった、有給休暇の消化ができなかった、退職金が減額になったなどのトラブルについての話をサービス利用者からよく聞くが、このようなトラブルを避けるため、筆者としては弁護士資格というしっかりとした国家資格を有する弁護士のいる法律事務所に相談することを強くおすすめしたい。

(弁護士 井上裕貴)