セミオーダーで1万円以下
驚異的な安さの理由とは

 これだけ細かくオーダーができて9990円(税込み)と1万円を下回る価格設定は驚異的だ。セミオーダーは受注分しか作らないため、在庫を抱えるリスクがないという点は大きいが、コストが抑えられる理由は何か。

「『An ideal』は、生産工程を熟知している企業をパートナーとし、その企業の協力を得て、オリジナルパンプスブランドとして開発しています。ハイクオリティーかつコストを抑えた製造ノウハウを持っているパートナーと、靴と靴、靴と足のマッチングに関するアルゴリズムを武器にしている我々が協力し、ユーザーの要望に応えているのです」

 さらに、固定の店舗を構えていないので家賃、人件費などもかからない。足の計測はオンライン上でやり方を案内している上、希望者にはZoomを利用したサポートも行っている。

「ECを中心にはしていますが、『自分に合う靴がなかなか見つけられない』というお悩みを持つ人の多くは、試着せずに靴を買うことに抵抗感を持っています。ですから、東京、埼玉、大阪、福岡で期間限定のポップアップショップを出店するなどし、実際に履いてもらえる場を設けています」

 1回の開催で期間は平均2週間ほど、約数千人の客が来場するという。

 だが一方で、ごく一部、「An ideal」の靴でもフィットしづらい人もいるという。

「サイズというより、形状そのものが足に合わないという方がまれにいらっしゃいます。現在『An ideal』で用意しているパンプスは『ポインテッドトゥ』といって、爪先がとがった作りです。そのため、外反母趾(ぼし)などにお悩みの人から『痛くて履き続けられない』とのお声をいただくこともあります。今後は爪先の形状も選べるようにし、さらに今まで以上に多くの場面で履いてもらえるよう、ヒールの高さも拡充していきたいと考えています」