計測した足の情報を活用し
新たな体験を提供

 同社では、「An ideal」で計測した足の情報を、他のブランドの商品を購入する際にも活用できるサービスも展開している。

「『my IDEAL』というオンラインストア上で『MYパンプス』としてデータを登録すると、その人の足に合う既成品のパンプスとその最適なサイズをレコメンドしてくれます。たとえば、足長が23cm、足幅がワイドタイプの人がいたとして、Aのパンプスは23cmのままでOKでも、Bのパンプスは作りが小さめだから23.5cmにサイズアップしたほうが合うなど、よりその人の足にマッチするサイズをご提案しています」

 現在はパンプスに特化して商品をレコメンドしているが、向こう2~3年で「パンプス以外の靴にも対応していきたい」と、管氏は意気込みを語る。

「ある程度足の形に沿ってくれたり、靴ひもで調整ができたりするスニーカーやブーティーと違い、パンプスは自分と相性の良いものを探すのがかなり難しい。ということは、一番悩みが深いパンプスでアルゴリズムを構築できれば、他のタイプの靴に同じ技術を一気に転用できるのではないかと考えたのです」

 最初に難敵を攻略しておけば、その後は展開を加速させやすいというわけだ。

「『An ideal』を起点に、お客様が『今まで知らなかった自分に出会う体験』をしてもらえたら、と考えています。たとえば、『パーソナルカラー』や『骨格診断』を活用して、その人をより美しく見せる靴を提案したり、そこからメイクやヘアアレンジなどを導き出したりしていきたいです。靴を買うとき、足に合うサイズかどうかは重要な判断基準ですが、決してそれだけで選んでいるわけではありませんからね。嗜好(しこう)性なども学習し、よりレコメンドの精度を高めていきたいです。そして最終的には、他ブランドにも我々の生み出したアルゴリズムを活用してもらい、靴業界全体で『靴選び』を簡便に、そしてこれまでにない新しさを感じてもらえるような行為にしていけたら、と思っています」

 セミオーダーパンプスブランドの「An ideal」は、靴選びに困っている人を救うだけでなく、今まで味わったことのない斬新な世界の扉を開いてくれる存在にもなり得るかもしれない。

※セミオーダーパンプス「An ideal」は商品入れ替えのため、2月中旬ごろまで販売を一時休止しています。