ウォーキングやランニングだけでなく、トレーニングジムに通っている経営者も少なくありません。どうしてジムに通うのか、という私の質問に対して、ストレートに「アイデアや戦術が浮かぶから」と答えてくれた経営者もいました。先に、企画やアイデアは脳が油断しているときに出る、と述べましたが、身体を激しく動かすことで脳を空っぽにし、油断させてアイデアを出させよう、と考えているのでしょう。

 実は私も、20年ほど前から週末にランニングをしています。運動不足から何かやろうと思ったときに、自宅マンションの前に、川沿いに延びる絶好のランニングコースがあり、走ってみることにしたのでした。やってみると、これが何とも心地よかった。走っている間はもちろん苦しさもあるのですが、たっぷり汗をかき、たくさん酸素を吸い込み、予定通りに走り切ったあとは、何とも言えない充実感があります。

 ランニングをするのは、だいたい週末ですが、天候や予定が入ったりして走れないと、どうにも翌週、仕事の調子が上がらないような気になります。脳が気持ちよく働かない気がしてしまう。それくらい、ランニングの効能を意識するようになりました。

 最近は、ときどき平日の夜にウォーキングも取り入れています。これまで、ウォーキングはしてこなかったのですが、経営者の方々があまりに気持ちよさそうにウォーキングの話をするので、自分でもやってみようと思ったのです。

 すると、ランニングとはまた違う気持ちよさがありました。最初は暗くて見えなかった周囲の光景に、目がだんだん慣れてきて、見えてくるようになり、同じコースでも昼間とはまるで違う世界が広がっていることに気がついたのです。多くの経営者が実感している通り、判断力や集中力のアップという点でもお勧めです。

グローバル企業トップの
3分間瞑想習慣

 身体を動かすことと同時に、呼吸の大切さについて語ってくれた外資系企業のトップがいました。実はグローバル企業のリーダー層には、瞑想や座禅、ヨガをやっている人が少なくないそうです。ご本人も毎朝3分間瞑想をしている、と語っていました。

 彼によると、身体を動かしていないのに、急に呼吸が速くなるのは、何らかの異変が心身に起きているシグナルなのだそうです。そこで、気持ちを落ち着かせるために、深呼吸をする。普段はほとんど意識することがありませんが、呼吸の持つ効能は、実はとても大きいのです。自律神経を整え、リラックスできる。気持ちを落ち着かせられる。だから、あえて呼吸を意識してみるといい、と彼は言っていました。