ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「ネパールってどんな国?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

ネパールってどんな国?

 ネパールは、南アジアに位置する内陸国で、中国インドと国境を接します。

 世界最高峰8848mのエベレスト(サガルマータ)山をはじめとした8000m級の峰々が連なり、国土の約80%を山岳及び丘陵地帯が占めます。

 一方、ヒンドスタン平原に連なる南部インド国境のタライ平野は気候にも恵まれた肥沃な地域であり、人口の約50%が居住しています。

 1951年に王政復古を成し遂げた後、1990年にソ連・東欧革命の余波を受け、民主化が推進されました。その後、政党間の対立などで政情不安が続きましたが、2008年に王政が廃止され、連邦民主共和制に移行しました。

 ネパールは農業国です。農業はGDPの27.1%を占め、就労人口の約3分の2が農業に従事しています(2019年)

 しかし、北部の山岳・丘陵地域が国土の8割を占めるため、農地は国土の約28%しかなく、農家の50%以上が耕地面積50a未満の小農です。農業の中心は南部のタライ平野で、米や小麦などが栽培されています。

 他方、海抜800~1800mの丘陵地域では、狭小な農地でトウモロコシやジャガイモ等が栽培され、家畜飼育と組み合わせた農業を行っています。

 零細な農業に依存する産業構造を補完するために、マレーシアや中東地域への出稼ぎが大きな役割を担っており、送金収入はGDPの約25%を占めるまでになっています(2019年)

インド南アジア

ネパール連邦民主共和国

面積:14.7万km2 首都:カトマンズ
人口:3042.4万 通貨:ネパール・ルピー
言語:ネパール語(公用語)
宗教:ヒンドゥー教81.3%、仏教9%
隣接:中国インド

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)