誰しも悩みや不安は尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』から生まれた小説『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。とても読みやすいオムニバス形式の短編集は、アナタの心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれるYouTube「精神科医Tomyの人生クリニック」“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!

【精神科医が教える】<br />自分より相手のことを優先する…いい人から先に潰れてしまうワケ

人助けは自分が健全であってこそ

他人を助けたいとい気持ちは素敵なことです。では、どうしたら他人を助けられるのか? なにも難しいことはありません。「人を助けたい」という気持ちさえあれば、助けられるんです。むしろ、人を助けたいという気持ちのまま、全力で思い行動してはいけません

あまりにも人助けをしたいという思いが強くて、そのことばかり考えて自分が苦しくなってしまうとなると、その問題との距離がちょっと近すぎます。そうなると、自分が参ってしまうので、結局は人助けできなくなります。

他者への貢献心は素晴らしいことですが、自分自身の健全な心身や生活を大切にすることが大前提であって、そのうえで人助けするようにしないと、本末転倒になってしまいかねません。

自分が潰れてしまわないように

自分が疲れているときは、まず自分のことをケアしなければいけません。そうしないと他者に貢献するためのエネルギーや柔軟性が失われてしまいます。アテクシは精神科医として日々、多くの患者さんを診ていますが、診察室に入ってきた患者さんに集中して、次の患者さんが入ってきたらその患者さんに集中するようにしています。

その場にいない患者さんのことは思い出さないくらいがちょうどいい距離感だと思って、日々診療にあたっているんです。そうしないと自分の心身がもたないので、患者さんへの貢献もできなくなってしまうんですね。自分が潰れてしまったら、他者への貢献もできないですからね。

「深入りしすぎない」というスタンス

もちろん、診察が終わったあとも「あの患者さんどうしてるかな」と思うことはあります。でも、思い出しすぎるようだったら、ちょっと自分が疲れてるかなとか、あるいは少し距離感が近すぎるかなと思うようにしています。そして、自分の目の前にあることに集中すれば、他のことは忘れやすくなります。

自分の心身が疲弊しない範囲で、継続可能な距離感をキープすることが大事なんです。それは意識していれば、おのずと保てるようになります。そういう意味では、一日中考え続けるのではなく、ある一定の区切りをつけて考えないようにするメリハリも大事です。別のいい方をすると、深入りしすぎないというスタンスが大事なんです。

そのへんのバランスは、深入りしすぎず、メリハリをつけるという考え方を頭のなかに入れておけば、試行錯誤しながら調整できるものです。その都度、自分を大切にすることを前提に微修正していって、自分のものにしていくっていうのがいちばんいいと思います。

本稿は『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。