誰しも悩みや不安は尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』から生まれた小説『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。とても読みやすいオムニバス形式の短編集は、アナタの心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる。voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」の“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!
意図的に“頭をお暇”にする技術
不安や悩みを解消するための方法として、よく「頭をお暇にしない」という方法をお伝えしています。頭をお暇にすると、人はネガティブなことを考えがちだからです。きょうは、これとは真逆に、意図的に頭をお暇にする方法をお伝えしたいと思います。これは、わりと高度なテクニックなので、できない人は無理しなくてもいいと思います。
他人と比較して嫉妬したり、どうしようもないことでモヤモヤしたりするのは、目の前のことに集中していなくて、頭がお暇な状態のときが多いです。だから、いま目の前のやるべきことに集中すると、頭がお暇にならず、ネガティブなことを考えずに済みます。
で、ちょっと話がややこしくなってしまいますが、今回は逆に、意図的に頭お暇にしましょうというわけです。人生をふり返って、悲しかったこと、切なかったこと、やるせなかったことなど、わざとネガティブなことを少しだけ考えてみるんです。
別のことを考える時間を
セルフコントロールする
厳密にいうと、ネガティブというのとはちょっと違っていて、どちらかというと、「しんみりすること」を考えてみます。「あのときは大変だったけれど、よく頑張ってここまできたな」ということをふり返ってみるのです。わざと目の前のことから意識を遠のかせて、意図的にぼんやりとしてみるのです。
あえて、目の前のことから集中力を外して、意図的に別のことを考える時間をコントロールする技を身につけるということでもあります。ただ、やっぱりそういうときは、ネガティブなこと考えやすいので、そのことでネガティブになりすぎて苦しくなるようであれば、この方法はあまり向いていないかもしれません。
だから、無理してやる必要はありませんが、人生のわびさびを味わう時間として意図的に頭をお暇にすると、自分の人生に立体感のようなものが感じられるようにもなります。
“人生の陰影”を味わう時間
人は、ポジティブなことばかりで生きられるものではなく、人生にはところどころ陰影がついていると思うんです。その部分をあえてふり返る時間は。実はあっていい。ただ、これをやりすぎると抜け出せなくなって、人生が辛いとか、気分が落ち込んだりしてしまうので、基本は頭をお暇にしないこと。
そのことを前提にしつつ、心身に余裕があるときに、たまにでいいので、頭をお暇にするのはアリだと思います。一度、試してみてくださいね。
本稿は『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。