経済的に恵まれない母子家庭に育ち、高校・大学は奨学金を借りて卒業。そのため、1000万円に迫る“奨学金という名の借金”を背負うことになった。そこで、郷里に母を残して上京、東京国税局の国税専門官となった。配属を希望したのは、相続税調査部門。「どうすればお金に悩まされずに済むのだろう?」と考え「富裕層のことを知れば、なにかしらの答えを得られるのではないか?」と思い至ったからだった。国税職員のなかでも富裕層が相手となる相続税を担当するのは、たった1割ほど。情報が表に出てくることはほとんどない。10年ほど携わった相続税調査で、日本トップクラスの“富裕層のリアル”に触れた『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)の著者が、富裕層に学んだ一生お金に困らない29の習慣を初公開する!

【国税OBが明かすお金】巨万の富を築く王道にして“おすすめの価値観”Photo: Adobe Stock

少々高額でも高品質のものを買って長く使う

【前回】からの続き 再び総務省の家計調査の結果をひもといていきましょう。次の資料では、2005年と2018年の数値が並んでいるので、過去と比べて富裕層のお金の使い方が変化していることを見てとれます。

【国税OBが明かすお金】巨万の富を築く王道にして“おすすめの価値観”

2005年に行われた調査では、第Ⅴ階級の「家具・家事用品」は3.9%、「被服及び履物」は7.4%だったのが、2018年の調査ではそれぞれ3.1%、5.1%と明らかな減少を見せています。

これは私の印象に過ぎませんが、富裕層はブランド品などをむやみに買うわけではなく、いいものを買って長く使う傾向があります。相続税調査のときに亡くなった被相続人の趣味を尋ねたところ、「革靴の手入れ」といわれることが何度かありました。

とくにおすすめの富裕層の価値観

実は、私もそうした富裕層から刺激を受けて、税務職員時代に5万円以上する革のブリーフケースを買ったことがあります。当時の給料は手取りで30万円ほどでしたから、私にとってはかなり大きな買い物でした。

あれから10年以上経ちますが、そのブリーフケースは今も使い続けています。ときどき保革クリームで手入れをしていることもあり、いい具合にエージングして、買ったときよりもむしろ高級感があるくらいです。

少々高額でも品質がいいものを買うと、「大事に使おう」という意識が芽生えることも実感しました。安物を頻繁に買い換えるのではなく、品質がいいものを買って、手入れしながら長年使い続ける。これは私が富裕層から学びとったことのなかでも、とくによかったと思っている価値観です。【次回に続く】

※本稿は、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。