変動と固定の金利差は
金利上昇への「保険料」
確かに1980年代後半のバブルの崩壊は、当時高利の住宅ローンを借りた人でも、それから30年デフレの時代に突入したので、住宅ローンを借り換えれば低利のローンに変えることができました。
Aさんは続けます。
「うちのマンションは3LDKが主体なので、入居者はファミリー層ばかりです。そして、マイホームを購入後、うちのマンションを出ていくのですが、ほとんど全員が変動金利で借金したと言います。他人の住宅ローンについて聞くなんて変な大家だなと思われてるのかもしれませんが(笑)」
2023年の今、住宅ローンを変動で借りると0.7%前後。仮に5000万円借りたら毎月の返済額は大体13.4万円。それを今、固定にしたら1.5%程度になるので月の返済は15.3万円になり、変動に比べて約1.9万円アップします(35年ローン、他手数料無しで試算)。
月に2万円近く上昇するのでなかなか固定にしづらいのはよくわかります。ちなみに現在のアメリカの30年固定金利は7%前後になっていますので、日本が将来そうなるかどうかはわかりませんが、上記5000万円を7%で借り入れた場合の毎月の返済額は31.9万円と、ほぼ倍になります。
最後にAさんはこう言います。
「私自身は、コロナが流行して政府が多額の財政出動をしたとき、インフレになり、いずれ利上げに転じると思い、昨年不動産ローンはすべて固定に替えました。一部、変動も残っていますが、いざとなったら手持ちの預金で一気に返済できる程度しかありません。変動から固定に借り換えたことによる返済額の増加分は、あくまで保険と割り切っています」