ひとまず3年間療養して
体調を戻しては?

 それでは、本題の「Zさんの退職時期」を考えることにしましょう。Zさんが今以上に体調を崩し、家族に負担がかかることは避けるべきだと、これまでのFP相談の経験から私は判断します。

 つらい状況を我慢する必要はないので、すぐに退職してゆっくりと休み、体調を戻すべきでしょう。相談文には「どのくらい休むのがよいか」と書かれていますが、たとえ期間を区切って休息を取ったとしても、体調は必ず戻るとは限りません。

 そのため、Zさんの長い人生を視野に入れれば「体調が完全に戻るまで休んでほしい」と回答したいところです。ただ、それではZさんの質問に答えたことにはならないので、目安として「お子さんが小学校に上がるまでの3年間」お休みするのはいかがでしょうか。

※今回の試算では、試算対象の年齢になった誕生日から、次の誕生日までの期間を「1年」として計測しています。今回は、お子さんが3年後の満7歳になった時点で小学校に入ると仮定しました。

 ここからは、Zさんが3年間お休みしても家計が安泰だということを検証していきます。

 この3年間、Zさんの収入は0円とします。Zさんが働かない3年間の家計収支は、ご主人の年収が424万円で、投資額を除いた年間支出が420万円ですから、ほぼトントン(収支がプラスマイナス0円)になります。

 ボーナスは年によって変動が大きいと書かれていることから、年によっては赤字になる場合もあるかもしれません。今回は不測の事態にも対応できるよう、あえて厳しく試算し、3年間で計50万円の赤字が発生すると仮定します。

 また、お子さんが小学校に進学する際は、多少なりとも追加支出が発生するでしょう。その費用を30万円とし、3年間で合計80万円を金融資産から取り崩すとします。現在、Zさん夫婦は現金2200万円、iDeCo150万円、NISA430万円の合計2780万円を保有しているため、80万円を取り崩すと残りは2700万円になります。

 3年間体を休めた後、Zさんは仕事に復帰することにします。この時点で、Zさんは35歳、ご主人は47歳、お子さんは7歳になっています。ご主人が転職・昇進などで昇給している可能性もありそうですが、試算を厳しめにするために現状の金額で変わらないことにします。