7代目が心血注いだ山廃の酒が、時代とともに昔のブランドと化しているのを心配し、設計を見直す。長い熟成に頼らず、うまさは残し、エレガントな味を高度な造りで実現。すると、海外の日本酒鑑評会やワイン専門家から高評価を受ける。昨年10月には試飲が楽しめる「mau.」を開店。70年前の納屋を改築し、酒袋や江戸時代の門扉の材も活用。伝統の漆技術でテーブルも作り、新旧素材を共存させた。また、長男が大学生の時に酒造りの修業を開始。師匠は顧問の中三郎さんだ。伝統を革新し続け、そして次代へとつなぐ。

新日本酒紀行「天狗舞」天狗舞 山廃仕込純米酒
●車多酒造・石川県白山市坊丸町60-1●代表銘柄:天狗舞 山廃純米大吟醸、天狗舞 吟こうぶり、五凛 純米大吟醸、五凛 純米酒●杜氏:岡田謙治●主要な米の品種:五百万石、百万石乃白、山田錦
新日本酒紀行「天狗舞」酒蔵外観 Photo by Y.Y.
新日本酒紀行「天狗舞」左から杜氏の岡田謙治さん、車多一成さん、常務研究開発室長の徳田耕二さん Photo by Y.Y.