お客様に響く「お客様目線」の表現とは?

 では、お客様が自然に「買いたいな」と思ってくれる表現はどのような表現でしょうか?

 それはまず、お客様が感じる価値=カスタマー・バリューを全面に出すことです。

 つまり、プロダクト=製品やサービスの特長だけを押し出すのではなく、お客様が使ったときに感じる「価値」を表現してくことがまず最初になります。

 私の好きなテレビCMにダイハツ タントの広告があります。ユースケサンタマリアさんと小池栄子さんが夫婦を演じているCMで、お寿司屋さんに行き「低燃費の車に替えたから、今日は好きなものを食べていいわよ!」というCMです。

 これまでは低燃費のクルマのCMで、「業界初 リッターXXkm達成!」などという表現が多くされてきました。お客様はもちろん広告などを見て車を買うのですが、本当に欲しいのは、「低燃費になって家計が助かり、浮いた分のお金で欲しいものが買えたり貯金ができること」です。

 このお客様が欲しいこと、すなわちお客様が顧客価値を想像できる表現にしていくことが「売れる仕組み」での表現では重要になります。

 では、どうすれば顧客価値を入れ込んだ表現を開発できるのでしょうか?

 それは「お客様目線」になることです。

 つまり、「売り手目線」ではなく「買い手目線」であるべきだということになります。どうしてもマーケティングをする側の我々は「自分目線」で物事を考えがちです。

 第1回でも説明しましたが、人は基本的に「買ってね、買ってね」と売り込まれると気持ちが引いてしまいます。お客様の立場に立った表現、タントのCMでいえば「車を買った後に自分がどうなるのか?」を想像してみます。

 そして、前回のターゲット編で考えた「お客様が感じる価値観」を表現の中に入れ込んでいく、というステップになります。