「リセット」と「連動」で
体のベースを整える

最近の肉体改造ブームも手伝って、「体は鍛えれば鍛えるほどいい」と考えている人はたくさんいます。たしかにトレーニングはハードなほど「体にいいこと」をしている感じがしますし、筋肉がつくのは成果が見えやすいので熱が入りやすい。

しかし、繰り返すように体がゆがんだ状態で筋肉をつけた場合、ゆがみがさらに強化されて、体はむしろカチコチになり、疲労が体内にどんどん蓄積されていきます。

健康にとっては逆効果なことも少なくありません。また、エステなどでリンパを流しても、そもそもの「体の土台」が崩れていれば、効果は一瞬で終わってしまうんです。

食事に関しても同様のことがいえます。

たとえば、何十万キロも走ったボロボロの中古車に高級オイルを挿したら、燃費は上がるでしょうか? あまり意味がなさそうな気がしますよね。

もちろんまったく意味がないとは言いませんが、「器」である体が崩れている状態で食材や調理法にこだわってみても、効果はどうしても弱くなります。

本当に健康な体を取り戻したければ、まずはベースを整えることが最初にやるべきことなんです。

ベースが整ってはじめて、それぞれの健康法が最大の効果を発揮します。

効果効率を考えると、体を整えるのがベストな選択だと思います。

具体的にすべきことは、「リセット」と「連動」の2つです。

「リセット」とは、体のクセをとって体型を本来あるべき姿に戻すこと。

「連動」とは、体の正しい動かし方を覚えて全身をつなぎ、循環させることです。

そこで登場するのが、ストレッチです。

ストレッチは伸ばす運動ですが、これに連動させる動きを合わせることで、体を本来の状態に戻すことができます。

体も物体であり、「縮んだものは伸ばせばいい」んです。

使って丸まったシーツも、四隅をピンと戻せば元通りになります。

クセを伸ばしてリセットして、正しく動かして連動させる。

たったそれだけで体が引き締まりますし、体が循環して脳もよく働くようになります。

私自身、施術を改良するときにはずっと自分の体を使ってオリジナルのストレッチをしてきたのですが、それを家庭でできるように、「リセット」と「連動」の動きを簡単なストレッチで再現したのが「スゴレッチ」なのです。

連載第1回では、書籍『スゴレッチ』の中にもあります。
施術並みの効果を得られる「東京タワーストレッチ」を紹介しています。
また、連載第2回では、壁にもたれかかるだけで
猫背と内巻き肩が解消する「壁ドンストレッチ」も紹介しています。

1日5分もかかりませんので、ぜひやってみてください。

萩原健史(はぎわら・けんじ)
株式会社all-win 代表取締役
完全予約制パーソナル整体からだリフォーム、からだリフォームアカデミー代表。
5歳でラグビーを始め、高校時代は中心選手としてチームを全国準優勝に導き、大学卒業後は実業団で活躍。22年間ラグビーをプレーする中でコンディションを整えることの重要性を実感し、27歳で治療家に転向する。
「根本から不調を整える施術」を模索し、解剖学、生理学、構造学、心理学、量子力学など多様な領域から「姿勢と自律神経を整え、身体の連動性を高める」独自の治療メソッドを開発。アスリートのコンディショニング、女性の体形変化、ビジネスマンの自律神経の乱れ、腰痛・肩こりの解消など、さまざまな要望に対応。口コミだけで日本各地から経営者、プロスポーツ選手、タレントなどが集まり、延べ5万人以上の施術を行ってきた。
本書『スゴレッチ』は、その治療エッセンスを凝縮したセルフケアであり、「健康を簡単にしたい」という思いのもとに生まれたメソッド。複雑な身体構造を極めてシンプルに説明したそのロジックと手法には、一般患者のみならず、医師、理学療法士、アスリートやそのトレーナー、施術者などのプロフェッショナルからも絶賛の声が寄せられている。