大学で学ばせるのは
「論理的思考」であるべき

 筆者としては、「大学では、論理的な思考力を高めるような講義を多数受講して、しっかり学ぶように」と指示してほしい。大学で学んだ個々の知識は、就職先ですぐに役に立つとは言い難いからだ。

 ちなみに筆者は、法学部を卒業して銀行に就職した。だが、大学時代に学んだ憲法や刑法等の内容が仕事で役に立ったことは、なかったと思っている。だが、憲法や刑法の条文解釈に関してさまざまな議論をし、自分の意見を答案用紙に表現する訓練を受けたことで、銀行の業務遂行に大いに役立った。

 もっとも、科目により、教授により、知識を覚えさせるような講義や、採点の甘いホトケ教授の講義(要するに勉強しなくても良い科目)もあったと思う。筆者が大学1年生の時に内定を受け、内定先からそうした講義を受講しないようにアドバイスが受けられていたら、もっと銀行の役に立つ人材になれていたのではなかろうか。

 もちろん、これは筆者の希望であって、企業が同じことを考えるとは限らない。学ぶことは勉学だけではなく、サークル活動やアルバイトでコミュニケーション能力を高める、といった点を重視する企業もあるだろう。いずれにしても、大事なことは、企業が好ましい社員像をしっかりと学生に提示し、それに近づけるように面談の際に目標を定めることだ。

 本稿は、以上である。なお、本稿はわかりやすさを優先しているので、細部は必ずしも厳密ではない。