大学生が勉強していないのには理由がある

 現在、多くの大学生はあまり勉強していないように思われる。しかし、それには理由がある。企業が採用に際して大学の成績よりもガクチカ(学生時代に何に力を入れ、それによって自分はどう成長したのか)を重視するからだ。

 一般的に、企業が採用の際に成績を重視しないのは、合理的な学生は、良い成績を取るよりガクチカに注力するので、良い成績を取っている学生が優秀とは限らない、と考えているからだろう。

 逆に、なぜ合理的な学生がガクチカに注力するのかといえば、多くの企業が勉学よりガクチカを重視する傾向が強いからだ。

 要するに、鶏と卵なのだが、「皆が右側通行している所で1人だけ左側通行をするような愚行は学生も企業も避けたい」ということなのだろう。

 どこかの企業が「我が社は成績を重視します」と宣言しても、勉強する学生は少数だろう。多数の企業を受ける学生にとって、1社だけしか重視していない項目に注力するのは合理的ではないからだ。

 しかし、内定先となれば話は違う。「他社がどうであれ、私の内定先は勉強を重視しているのだから、ガクチカより勉強するのが合理的だ」と内定者は考えるからだ。