1月5日に3年ぶりに開催された自動車5団体賀詞交歓会に章男社長はコロナ陽性で欠席し、日本自動車工業会(自工会)会長という“主役不在”となったものの、13日に開幕した東京オートサロンでは朝一番のトヨタブースに元気な姿を現し“章男節”を披露していた。

 トヨタ新社長に指名された佐藤恒治氏は、1992年に早稲田大学理工学部機械工学科を卒業し、同年トヨタ自動車入社。2017年に常務理事、20年に執行役員となりレクサスインターナショナルプレジデントとGAZOOレーシングカンパニー(GRカンパニー)プレジデント、21年からチーフ・ブランディング・オフィサー(CBO)も兼ねている。次期社長候補としては、昨年4月に復活した副社長職を務める3人や過去に挙げられた副社長クラスも飛び越す形となった。

 ただし、社内カンパニーの中でも章男社長が大好きなGRカンパニーのブースなどで一緒にいる光景が多く見られるようになっていたし、先の東京オートサロンでも壇上で二人がにこやかに並んでいた。ともあれ、章男社長は「トヨタの変革をさらに進めるには、車作りの現場で努力してきた若い人に任せ、若さと行動力に期待し、会長としてサポートしていく」と53歳の佐藤新社長に期待の言葉を口にする。佐藤氏は社長への抱負を「トヨタモビリティへの変革を実現させる」と述べていた。

 09年6月以来13年間余の在任を振り返ると、章男社長はリーマンショックによる赤字転落や米国でのリコール対応という「嵐の中の船出」から、今や日本初の売り上げ30兆円企業、前期で2兆8千億円の過去最高益を更新する業績の大幅向上を実現した。また、社内カンパニー制度や自らも私財を投入した先端ソフト開発子会社「ウーブン・プラネット」の設立などに加え、「仲間づくり」としてスバル・マツダ・スズキ・いすゞ自動車との提携による“日本車連合”の形成にかじを切ったことも章男トヨタ体制の成果である。