すでに、自工会の会長職で異例の3期目を務めるとともに、昨年は経団連に「モビリティ委員会」を新設する動きを見せ、そのリーダーシップは自他ともに認める存在となっている。トヨタ会長となることで“財界総理”と称される経団連会長への就任要請が各所から強まることにもなりそうだ。一方で、トヨタ社内においても佐藤新社長をサポートしながら会長として「院政」を敷くことになる、とみられている。

 その中で、章男トヨタ体制としての懸念材料として残されているのがグループの日野自動車の立て直し問題だ。4月以降の日野自の動向いかんによるが、グループの形に関わる問題なだけに、豊田章男会長マターのテーマとなりそうだ。

2月から日野自が新体制へ
チーフオフィサー制を導入

 エンジン不正問題が約20年続いていたことが発覚し、企業存続も危ぶまれたその日野自だが、今年に入り1月13日に「エンジン認証不正に関する再発防止策の四半期進捗報告」を国土交通省に提出するとともに、2月1日付で経営新体制に移行する。

 日野自の新経営体制は、21年にトヨタから日野自入りした小木曽聡社長が新設の最高経営責任者(CEO)を兼ねることになる。最高財務責任者(CFO)、最高技術責任者(CTO)も新設し、各分野に最高責任者を置く「チーフオフィサー」制を導入して、より現場近くへ権限を移譲する。

 昨年10月に日野生え抜き取締役3人と専務役員1人が退任したことで、取締役陣は小木曽社長とトヨタの近健太副社長とほか3人の社外取締役だけとなっており、各分野責任者は大きく若返ることになる。小木曽氏は2月以降、経営全般の指揮や風土改革の主導に集中する。

 トラックメーカー最大手で、トヨタグループの日野自は昨年3月にエンジン試験での不正が表面化し、8月にはこの不正がさかのぼって約20年間も続いていたことを公表したことで、国交省は日野自の当該ディーゼルエンジン搭載車の型式・認証を取り消した。これにより国内向け生産・出荷停止という事態となり、メーカーとして大きく信頼を損なうことになった。