誰しも悩みや不安は尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』から生まれた小説『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。とても読みやすいオムニバス形式の短編集は、アナタの心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれるvoicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!

【精神科医が教える】SNSの炎上に潜む「悪人探し」依存症

悪者探しは気晴らしになる

世の中は、悪者探しで盛り上がることが少なくありません。なにか目立った問題がとり沙汰されると、関連する人物が槍玉に挙げられて、過去の発言との矛盾点などを次々とあげつらうなど、SNSで炎上したりします。

こうしたことは匿名性の高いSNS社会になって加速していますが、大なり小なり昔から起きてることです。悪者を責め立てると胸がスッキリして、気晴らしになるんですね。

なんの理由もなく、誰かを攻め立ててスッキリしていたら、これはいじめになってしまいますが、悪者探しも紙一重なところがあります。

正当化されたいじめ

しかし、悪者探しは実際に大きな問題が生じており、被害者もいたりする。そんなことを起こしたのは、この人であり、関連する人も責任逃れはできない。そんな正論が成り立つと、ある種のいじめが正当化されるわけです。

そして、正論をかざして堂々と当事者や関係者を叩きのめす。これはあたかも、魔女狩りのような制裁です。世の中はある種のポジショントークが好きなんですね。

誰かが炎上したとき、たしかに当人に非があるとはいえ、その人を悪者にして寄ってたかって叩く。そこに事実だけでなく、憶測によるストーリーも加わり、なにが事実でなにが憶測かもわからなくなり、ポジショントークがひとり歩きすることもあるんですね。

明日はわが身かもしれない

明日はわが身かもしれません。自分は有名人ではないから安心というわけではなく、自分が属する会社やコミュニティで、同じようなことが展開されてしまう可能性は否めないのです。なぜなら、世の中は悪人探しが好きだからです。

悪意はないものの、仕事で大きなミスしてしまった。すると、そのミスの経緯や背景を洗いざらい調べられる。それは問題解決のためという正論のもとに行われますが、ミスをした当事者からすると居たたまれない気持ちになります。

ついには閑職に移動させられたり、自主退職を迫られることだってあるでしょう。まだ起こってもいないことをあれこれ考えてもしょうがありませんが、いまできることといえば、世の中の悪人探しからは距離を置く。そして、冷静な視点で物事に対処するクセをつけておくということです。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。