創業9年目で売上300億円と、急成長を遂げている家電メーカー、アンカー・ジャパン。そのトップに立つのは、27歳入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳でアンカー・ジャパンCEOに就任と、自身も猛スピードで変化し続けてきた、猿渡歩(えんど・あゆむ)氏だ。「大企業に入れば一生安泰」という常識が崩れた現代、個人の市場価値を高めるためには「1位にチャレンジする思考法」が必要だと猿渡氏は語る。そんな彼が牽引してきたアンカー・ジャパンの急成長の秘密が詰まった白熱の処女作『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』が大きな話題となっている。そこで本書の発売を記念して、ビジネスパーソン「あるある」全20の悩みを猿渡氏にぶつける特別企画がスタートした。第14回目は、「優秀な人が20代で経験していること」について聞いた。(構成・川代紗生)

1位思考Photo: Adobe Stock

20代はインプットの「質」より「量」

──『1位思考』には、ストイックに仕事に励む若手時代のエピソードも書かれていました。猿渡さんにとって、20代はどんな時間でしたか?

猿渡歩(以下、猿渡):ずっと勉強していたような気がします。

 私は、新卒でコンサルティング会社に入社し、その後、プライベート・エクイティ(PE)ファンドに転職。

 27歳でアンカー・ジャパンに入社しました。

 まわりを見渡しても、珍しいキャリアかもしれません。

 平日もかなり労働時間は長かったですが、休日も知人と外食したり、ジムに行く以外は勉強をしていた時間が多かったと思います。

──勉強に多くの時間を割いていたのは、どうしてですか?

猿渡:やっぱり「仕事で結果を出したい」というのが一番大きかったと思います。

 アウトプットばかりしていても、常に新しい知識をインプットし続けないと、まわりの優秀な人たちに勝てない。

 だから当時は、インプットの「質」以上に、インプットの「」にこだわっていました。

 ハイパフォーマーばかりの環境に入ってみて気がついたのですが、本当に優秀な人って、その優秀さにあぐらをかくことなく、さらに勉強をしていました。

 もし自分の2倍優秀な人が、自分より2倍努力したら、その差はとんでもないことになってしまう。絶対に勝てない。

「優秀な人に追いつくために勉強しよう」と思っても、その人はずっとその場で待っていてくれるわけではありません。

 自分よりものすごいスピードで成長していくのです。

 差がついた状態は変わらないどころか、普通に努力しただけでは、ますます広がるばかり。

 その差を埋めていくには相応の努力が必要でした。

──「優秀な人たちに追いつきたい」と思ったきっかけは、『1位思考』にも書かれていた、学生時代の経験が大きかったのでしょうか?

猿渡:そうですね。大学受験などに失敗した経験の影響は大きかったと思います。

 不合格を突きつけられ、初めて自分の将来について真剣に考えるようになりました。

 負けず嫌いに火がつき、「同世代で1位になりたい」という気持ちが強くなりました。

1位思考

「1位」にしかできないこと

──「1位」にこだわるようになったのは、何か理由がありますか?

猿渡:「どうせやるなら1位を目指したほうが楽しそう!」というシンプルな発想でした。

 言い訳せずに1位を目指すスタイルが、私に合っていたのかもしれません。1位ならそれ以上理由づけもいらないですし。

 ただ、アンカー・ジャパンの経営者として働くようになり、モバイルバッテリーや充電器など、扱う製品カテゴリーの多くで国内オンラインシェア1位を獲得して感じるのは、1位になると見える景色も、やれることもまったく違う、ということです。

 2位以下だと、どうしても1位を意識した戦略になってしまいます。

「どうしたら1位に勝てるか?」という戦略になりやすいのですが、1位ならリーディングブランドとして、業界全体をどう伸ばすかを考えられる。

 1段階、2段階も上の景色から業界全体を見渡し、お客様がとことん喜ぶ商品・サービスを考えられる。これは、1位になってみないとわからなかったことでした。

「後発でも1位になる」ための技術

──1位になるまでは、たくさんの苦労があったのではないかと思います。

猿渡:もちろん大変なこともありましたが、それより「成長できている」という実感を得られたあの時間は、とても尊いものだったと思っています。

 前職では、優秀な周りの社員についていくので精一杯。

 アンカー・ジャパン入社後も、創業当初ならではの課題がたくさんありました。

 しかし、それら一つひとつの経験が、私自身の成長、ひいては、アンカー・ジャパンのメンバーたちの成長につながっている。

 それに、SNSなどで「アンカー・ジャパンの製品がとてもよかった」というお客様の声に触れるたびに、この社会にちょっとでも貢献できているのかなと。

 そう実感できると、とても嬉しい気持ちになります。

 これほどのやりがいを感じながら仕事ができている今、とても楽しいです。

──それもあって、『1位思考』というタイトルにされたのですね。

猿渡:ただ、強調しておきたいのは、人としてのあり方や生き方はオンリーワンでいい、ということです。

 年収が高い人が偉いわけでもないし、職業に貴賎もありません。

 しかし、会社を長く経営するには、やはり「勝ち」にこだわる姿勢、ナンバーワンを目指す姿勢は大事だと考え、私がこれまで培ってきた「後発でも1位になる」ための技術を『1位思考』に落とし込みました。

 ビジネスパーソンとして、より高い成果を出せる人、より市場価値を上げたい人にとって、本書はお役に立てるのではないかと思っています。

(本稿は『1位思考』に掲載されたものをベースに、本には掲載できなかったノウハウを著者インタビューをもとに再構成したものです)