中国系の八百屋は地元にとって脅威なのか
こうした中国系の激安野菜による“攻撃”は、地元で長年地道に商売する店側からすれば“脅威”そのものである。日本の普通の八百屋ができるのは、「今日はほうれん草が安いよ」とピンポイントで特売をするぐらいだ。いいものを安く提供したいが、さすがに「毎日、どれも激安」はできない。同じ商圏で中国系の八百屋が激安野菜を売り続けていたら、とてもかなわないだろう。
だが、前出の讃岐さんは、「中国系の八百屋が安さで客を呼んでくれれば、間違いなく商店街はにぎわいます。それだけでも共存する意味はあると思います」と話し、これを否定的には捉えていなかった。
「商店街実態調査報告書」(中小企業庁、令和3年度)からは、商店街の実に7割近くが、「衰退している」「衰退の恐れあり」という切実な状況にあることがわかる。他方、空き店舗に入るのは中国系やアジア系店舗だという商店街も珍しくなくなった。こうした外からの資本が、安さを武器に町ににぎわいをもたらしてくれるならば、それだけでも価値があるという考え方だ。
もっとも、町や商店街で共存する以上は“ルールの順守”は必須であり、ルールを浸透させるためには“横のつながり”や“仲間意識”が不可欠だ。全国各地の商店街にとって課題となるのは「新興の外資系店舗と仲間になれるかどうか」だろう。
今後の日本の多様化社会は、新たな課題に向き合いながら、外資の参入がもたらす「にぎわい」を利用するという“逆張り”の発想で、脅威を商機に変えていく時代になっていくのかもしれない。