株式投資をする人たちの間で大きな支持を集めている話題の1冊が『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』だ。60問のクイズに答えるだけで、「株式投資のコツ」や「売買のタイミング」をつかめる手軽さが人気だ。「チャートを勉強したけど成果が出ない……」。その原因はどこにあるのか。チャートで稼ぐにはどうすれば良いのか。『株トレ』の著者であり、ファンドマネジャーとして2000億円超もの資金を運用してきた経歴を持つ楽天証券・窪田真之氏に話を聞いた。(取材・構成/伊達直太)

「株で資産を増やせる人とそうでない人」考え方の決定的違いPhoto: Adobe Stock

勉強熱心な人が株で勝てないワケ

 楽譜の読み方をマスターしても、それだけでピアノを弾けるようにはなりません。英語テストの点数が高い人でも、実際に英語を話せるわけではありません。株も同じで、「チャートのパターンを学べば勝てる」と思っている人が多いのですが、それだけでは勝てるようにはなりません。

 日本人はマジメな人が多いため「株をやるなら、ある程度勉強してから」と考えます。特に受験勉強の経験がある人ほど、その傾向が強いのではないでしょうか。しかしながら、株の取引は、勉強の得意な人が稼げるというものではありません。

 知識も大事ですが、それより大事なのは実践です。売買の経験をせずに、理論から始めても自分のものにはなりません。自分でトレードを繰り返して、相場と向き合う感覚が分かってから、知識を吸収するほうがはるかに効率的でしょう。

 とはいえ個人投資家にとって、いきなりたくさんのトレード経験を積むのは現実的ではありません。そこで『株トレ』では、実例をもとにした様々なチャートを掲載し、読者のみなさんがチャートを見ながら「買い・売り・様子見」のクイズをできるようにまとめました。

 実際のトレードをシミュレーションするつもりで取り組んでもらえれば、効率的に「トレードの技術」を身につけられるでしょう。

ゲーム感覚で取引できる金額から株を始める

 また、知識のない状態で株を売買することに抵抗がある人は、「ゲーム感覚で扱える金額」から投資をスタートしてみてはどうでしょうか。

 ゲーム感覚というと不謹慎に聞こえるかもしれませんが、真剣になりすぎないことは非常に重要なことです。

 プロのファンドマネジャーにおいても、「お客様の大事なお金を預かっている」「命の次に大事なお金だ」などと重く受け止めている人は、良い結果を得ることができません。

 損することへの恐怖感にとらわれていると、チャートを正しく見ることができず、判断力が鈍ります。トレンドに乗りかけている銘柄を薄利で売ってしまったり、強い売りシグナルが出ている銘柄を持ち続けてしまったりするのです。

 反対に「今回は損失を出したけれど、また次にチャンスがある」「勝ったり負けたりするが、トレードが楽しい」とゲーム感覚で相場と向き合う人ほど勝っているものなのです。

 損しても痛くない金額が10万円であれば、10万円からトレードを始めてみるのがいいでしょう。損しても気にならない金額の範囲であれば、抵抗なく損切りもできます。そうして勝ち負けを繰り返すうちに、大きな金額のトレードも正しい判断で実行できるようなっていくでしょう。