湿布にも副作用がある
胃腸障害や喘息発作の危険
アセトアミノフェンより効果が大きいのがアスピリン成分を含む解熱鎮痛剤。薬剤師の堀美智子氏(医薬情報研究所/エス・アイ・シー)によると「代表格である『バファリンA』は、胃腸障害を少なくするために合成ヒドロタルサイトを含みますが、それでも胃腸障害は起きやすい」という。
「アスピリンと同等の効果があるイブプロフェン、たとえば『イブA錠』は胃腸障害は少ないものの、無菌性髄膜炎の副作用の報告もあります。全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病の人は使用前に相談しましょう」
一方で強い痛みに効くといわれるのがロキソプロフェンナトリウムで、商品例として「ロキソニンS」がある。風邪でのどや頭が痛いときにも使え、胃腸障害が少ないが、「腎臓の機能に悪影響やむくみが出やすい」(堀氏)ため、一時的な使用にとどめたい。
また意外に思うかもしれないが、鎮痛剤を内服する場合と同様に「湿布」にも、胃腸障害を起こす恐れや喘息発作の副作用が報告されている。湿布は経皮吸収剤と呼ばれ、消炎鎮痛剤などの成分が皮膚から血液に吸収される。もちろん飲み薬に比べれば血中濃度は低いが、それでも添付文書に記載された規定以上の枚数を貼るのは避けよう。
ところで冷湿布と温湿布はどのように使い分けるのがいいか。東京薬科大学客員教授の渡辺謹三氏に尋ねた。
「大きく分けて打ち身や捻挫の直後、患部が熱を持っている、炎症を起こしているときは冷感タイプで、慢性的な痛みには血行を良くする温感タイプです」
捻挫をしたときは、いつまでも消炎鎮痛剤入りの冷湿布を貼るのではなく、痛みが強い急性期を乗り越えたら消炎鎮痛剤を含まない温湿布に切り替えたほうが良いという。肩こりや古傷がズキズキ痛むような場合も温湿布だ。
最後に、「乱用」の恐れのある医薬品について触れておく。