短時間で成果を出している人がいる一方、頑張っているのに成果が出ない人もいる。この違いは何だろう? 経営の最前線で20年以上、成果上げられる人と上げられない人の差を徹底研究してきた人物がいる。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の木下勝寿社長だ。「やる気に頼らず楽しく続けられる」と話題となっているのがベストセラー『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』。【がっちりマンデー!!】(TBSテレビ系)のSNSで、「ニトリ」似鳥会長と「食べチョク」秋元代表から「2022年に読んだオススメ本3選」に選抜され話題となっている。本稿では、本書より一部を抜粋、「最短時間で最大の成果を出す方法」を紹介する。

「有能なのに成果が出ない人」に共通する、戦略に関する決定的な勘違い

戦略とは何か

 本来、戦略とは文字どおり「戦いを略す」こと。

 いかに「不確実な部分を略せるか」が重要だ。

 だが、つい「不確実な部分を確実にする方法」を考えてしまう。

 しかし、成果を上げている人はそうではなく、「不確実な部分を避け、他で補う方法」をやっていることが多い。

 うまくいっている社長に、

「うちは、こういうところがなかなかうまくいかないんですが、御社はどうやっていますか?」

 と聞くと、

 「そんな難易度が高くて不確実なことに時間もお金も割いていない」

 と言われる。

 逆にうまくいっていない会社を見ると、難しいところに多くのお金と時間を割いていて、そもそも「戦いを略す」という本質から外れていることが多い。

今やっている仕事は
“ボールペン開発”になっていないか?

 個人的に印象深い宇宙開発の寓話がある。

 ボールペンは無重力状態ではインクがペン先まで届かず、宇宙空間では書けない。

 そこでNASAの優秀な科学者が10年の歳月と120億ドルをかけ研究を重ね、無重力でも、上下逆にしても、水の中でも、氷点下でも、高温の状態でも書けるボールペンを開発した。

 一方、ロシア(ソ連)は鉛筆を使ったという。

 これには諸説あり、「NASAが巨額の開発費を投入したのは誤り」「無重力で書けるボールペンは実際にある」「ロシアが鉛筆を使ったかどうかは不明」などといわれている。

「有能な人」ではなく
「成果が出ている人」に注目

 しかし、私はこれを最短の時間で最大の成果を上げる教訓としている。

 常に「今やっている仕事はNASAのボールペン開発になっていないか。どこかに鉛筆があるのではないか」と意識するようにしているのだ。

 有能だが成果が出ていない人は、ボールペン開発をしていることが多い。

「有能な人」ではなく「成果が出ている人」から学ぼう

 成果が出ている人はたいてい鉛筆を使っており、ムダなボールペン開発に時間を割かない。

 成果が出ている人にやり方を聞くと、自分が知らないうちにボールペン開発をしていることに気づける。

 難しいことに取り組んでいること自体に悦に入らず、鉛筆を探そう。

(本稿は『時間最短化、成果最大化の法則』の一部を抜粋・編集したものです)