独自メニューがあまり多くないのは
なぜなのか?
女性の好みそうな「ON野菜」(温野菜をのせるという意味でしょうか)メニューと、脂身が少ない豚のロース焼きメニューと、おもちゃが付いたお子様メニューがあることぐらいです。
この設定は極めて戦略的です。要するに家族連れで来店した際に女性が「食べたいものがない」と最初から拒否反応を示さないように、最小限のオプションを用意しているのです。
そもそも吉野家に来て吉野家のメニューすべてに拒否反応を示す女性客であれば、成長戦略の対象にはなりません。そこで女性が好みそうな「ON野菜」の牛丼も選べるようにしているわけで、それを食べた女性が「吉野家の牛丼って初めて食べたけどおいしい」と思ってもらえればそれで成功なわけです。
とにかく黒い看板の吉野家はメニューはそれほど大きな差はなく、けれども居心地が良く設計されています。それで、女性客と子ども連れ家族に吉野家メニューを味わってもらうのです。
当然ながら限定メニューが注文されるよりも、他の店舗でも食べられる牛丼や牛すき鍋膳を試してもらったほうが固定客の増加につながります。だからこそ、黒い吉野家の限定メニューは種類も限定的に設計されているのです。