「一つ目は、完全に歯茎から出て、生えきっているパターン。二つ目は、生えきらず、中途半端に出ているパターン。そして三つ目が、完全に歯茎の中に潜っているパターンです。どんな生え方であろうと、口内のトラブルを引き起こす原因になりかねません」
「親知らずは真っすぐに生えていれば抜かなくてもいい」という意見も時々聞くが、小林氏は「残すメリットより、残したことで生じるリスクのほうが多い」と話す。
「真っすぐで、生えきっていても、親知らずを残すには“条件”があります。それは、親知らずを完璧に歯磨きできている、ということです。親知らずの有無によらず、歯科医から『問題なし』と言われるレベルできちんと歯が磨けている人は、ほんのわずか。ほとんどの人は、十分に磨けていなのです。しかも親知らずは、歯ブラシやフロスが届きにくい位置に生えています。どの歯よりもケアがおろそかになりやすく、さまざまなトラブルを引き起こすのです」
さらに、親知らずが中途半端に生えている場合は、汚れがたまりやすいという。
「親知らずが中途半端に生えていると、上下の歯のかみ合わせが悪くなります。上下の歯がかみ合うことで生じる摩擦には、歯の汚れを落とす働きもあるのですが、親知らずが中途半端に生えていたり、潜っていて噛み合わせが悪いと、摩擦が起きにくくなり、汚れ落ちも悪くなるのです」