短時間で成果を出している人がいる一方、頑張っているのに成果が出ない人もいる。この違いは何だろう? 経営の最前線で20年以上、成果上げられる人と上げられない人の差を徹底研究してきた人物がいる。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の木下勝寿社長だ。「やる気に頼らず楽しく続けられる」と話題となっているのがベストセラー『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』。【がっちりマンデー!!】(TBSテレビ系)のSNSで、「ニトリ」似鳥会長と「食べチョク」秋元代表から「2022年に読んだオススメ本3選」に選抜され話題となっている。本稿では、本書より一部を抜粋、「最短時間で最大の成果を出す方法」を紹介する。
同じ仕事ばかりしていると
時代に取り残される
「北の達人コーポレーション」は、売上100億円に達するのに、創業から20年かかった。
一方、創業からわずか3年で売上100億円に達する会社もある。
その会社のやり方を教えてもらうと、当社が苦労したことを経験していないケースも多い。
時代とともにテクノロジーが進化し、新しい戦略や戦術が生まれているのだ。
私が創業した2000年頃、ネット通販のお客様はパソコンを使用するのが当たり前だった。
だが、2008年のスマホ登場以降はスマホにシフトしていった。
創業当初はパソコン対応のシステムだけだったが、徐々にスマホ対応のシステムを同時並行で導入していった。
だが、スマホが主流になってからできた会社は、最初からスマホに特化したシンプルなシステムを導入している。
また、当社は業務システムを独自に構築したが、最近では簡単なツールを組み合わせればシステム構築ができるようになっている。
こうした背景があるからか、比較的新しい会社の人に
「うちではこんなことに苦労しているのですが、どう対処しているのですか?」
と尋ねると、逆に
「そんな問題があるのですか?」
と意外な顔をされることがある。
目の前の仕事だけやっていると、目標達成する新しい方法が次々生まれていることに気づかない。
気をつけるべきなのは、既存の戦略や戦術が日々古くなっているかもしれないということだ。
「おいしそうに見えるにはどう撮ればいいか」
で売上が伸びた話
思い返してみると、こんなことがあった。
私がネット通販を始めた頃、それまで紙媒体一辺倒だった大手通販会社がネット通販に参入してきた。
周囲からは大いに期待されたが、なかなかうまくいかなかった。
さまざまな理由があるが、大きな理由の一つとして「写真」に問題があった。
紙媒体主体の通販会社は、これまでどおりのやり方で写真を掲載していた。
当時はカニの全体の姿を写し、背景に波しぶきの加工を入れるのが定番だった。
だが、なかなかセールスにはつながらなかった。
大手紙通販会社の販売サイトのつくり方は「ギフトカタログ」だった。
「おいしそう」な写真ではなく「スペックがわかる」「高級感が伝わる」ような写真だった。
大事なユーザー目線
一方、私は素人ながら「おいしそうに見えるにはどう写真を撮ればいいか」と、ゆでたてのカニから湯気が立ちのぼる写真や、まさに口に入れようとする瞬間の写真などを撮ってネットに掲載した。
先入観や前例がなかったので、ユーザー視点でベストと思われる方法を考え、実行した。
結果的に私の撮る写真は「ギフトカタログ」ではなく飲食店の「メニュー」のような写真になった。
それがお客様の心に響き、購入につながった。
私が百戦錬磨の大手紙通販の人たちにこの話をすると、
「その発想はなかった」
と言われた。
共通していたのは、先入観や前例がなかったので、ユーザー視点のベストを考え続けたことだ。
それを今、私自身はまた下の世代に感じる。
つまり、戦い方は常に最新型に変えていく必要があるということだ。
(本稿は『時間最短化、成果最大化の法則』の一部を抜粋・編集したものです)