そのようなタイミングで診断を受け、医師から子どもの様子について質問されれば、マイナス部分を際立たせて答えてしまうこともあるかもしれません。そうなると、診断結果は「発達障害の可能性が高い」となることもあるのです。特にADHDの検査では、このリスクが高くなることが多いです。

 また、発達障害は症候の出方にも「濃淡」があるので、「診断は流動的なものである」ということも押さえておきましょう。子どもによっては、症候の出方が一定でないこともあるので、そのときによって診断結果が異なる可能性もないとはいえないのです。親御さんの中には、「発達障害の診断がつくと、それが生涯ずっと変わらない」と思ってしまう方もいますが、それは違います。

 脳科学の研究から、脳はいつまでも成長し続けることがわかっています。そして、私自身、変わっていく子どもたちをこれまでに数えきれないほど見てきました。

 もしも、発達障害の診断を受けたとしても、ここから子どもと一緒に脳を育てていこうと、前を向いていただけたらと思っています。そして、不要な思い込みで自分を縛らないためにも、診断は主観的で、かつ、流動的でもあるということを胸に留めておいてください。