
一般社団法人オンラインコミュニケーション協会 著
以前、クライアントの方から「新入社員がチャット上での先輩の言葉遣いにメンタルを病んでしまい、今会社を休んでいます」という話を耳にしました。おそらく、先輩はひどいことを言ったわけではありません。感情共有がうまくできなくて、新入社員が気をまわしすぎたのではないでしょうか。
いずれにせよ、チャットでは上の立場の人ほど意識して絵文字を使ったほうがいいでしょう。なぜなら、立場が上の人のほうが言葉のパワーが強いからです。下の立場からすれば、「これやっておいてください」とだけ言われると、圧を感じることもあります。絵文字にはそれを和らげる効果があるのです。
ここまで読んで、「上司の側から部下に絵文字入りのメッセージを送るなんてできない」「部長がニコちゃんマークを送ったら、若い人からバカにされるのでは?」と思った人も多いと思います。しかし、自分の感情を正しく伝えることは、どの世代も関係なく取り組んだほうがいいに決まっています。
逆に、若い人が目上の人に対して絵文字を使うのがためらわれるなら、「部長、チャットで絵文字を使うことについてどう思いますか? 最近、他社さんでは絵文字を使っているようです。コミュニケーションが円滑になると思うのですが」などと確認してみればいいでしょう。それでだめなら使わなければいいだけです。
「うちの部長は、絵文字世代ではないから使わないほうがいいだろう」と決めつけないで、チームで「使ってもいい」「どんどん使う」というルールにすればみんなが悩まずに使えます。
以前、私たちが実施した調査によれば、「絵文字がないと感情が伝わってこない」と感じる人は23.7%。一方、「絵文字が多すぎて嫌だ」という人はわずか5.1%でした。物理的に離れていると、感情を表すツールは絵文字くらいしかありません。手軽に感情を表現できる絵文字は最強のコミュニケーションツールなのです。

とはいえ、特に年配の男性の方などは、職場で絵文字を使うことに抵抗のある方が多いのではないでしょうか。たしかに、ハートマークや音符はビジネスにそぐわないかもしれません。お詫びの文章の末尾に舌を出して笑っている絵文字を使われると、「真剣に反省してる?」と思ってしまいます。
そこでおすすめなのが、グッドとかピースとか拍手などのハンドサインと、いろいろな顔の表情のマークです。
具体的にはZoomなどのリアクションボタンに備わっている絵文字を使うと無難です。もし困ったらそれを目安にしてみてください。