誰しも悩みや不安は尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる。Voicy精神科医Tomyきょうのひとことの“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!

【精神科医が教える】<br />人は得するより損したくない? 損したくない人の“シンプルなルール”Photo: Adobe Stock

“損したくない”の落とし穴

保険、住宅、教育、自動車は、「4大支出」と呼ばれることがあります。べつにお金の話をしたいわけではないのですが、なにか大きな支出や決断をするときは、事前にある程度意思を固めて、ブレないように準備しておいたほうがいいです。

相手はその道のプロですから、「では、ちょっと考えてからお返事します」なんて言うと、「今日契約しないと、割引が効きません」「ほかの人も下見していて、今日決めないと、その人が契約するかもしれません」なんて、急かされたりすることがありますよね。

そうしたときに、その場の雰囲気に飲まれてしまい、なんとなく損したくない気持ちも相まって、「じゃあ、決めてしまおうか」となりかねません。

“得したい”より“損したくない”

人間は、得するより“損したくない”気持ちのほうが強いといわれます。こうした人間の特性は、「損失回避性」と呼ばれますが、2002年にノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者、ダニエル・カーネマン米プリンストン大学名誉教授らが提唱した「プロスペクト理論」の中心をなす考え方です。

なにかを得たときに感じる喜びより、同じものを失ったときに感じる悲しさを比べると、失ったときに感じる悲しさの大きさのほうが2.25倍も大きいというのです。

事前にマイルールを決めておく

だから、なにか大きな買い物をするときでも、「いま決めないと特典を得られませんよ」「いま決めないと、ほかの人が決めてしまいますよ」なんていわれると、損したくない気持ちが勝ってしまいがち。大事なことは、最初に決めておいて、ブレないようにしておくべきなんです。

アテクシ自身も、損したくないという気持ちが強いことを自覚しているので、大きな決断をするときは最初にルールを決めておくように心がけています。大まかでもいいので、これだけは守ろうという「妥協したくないポイント」を頭のなかに描いておくのです。

その場の雰囲気に飲まれないために

そして、勇気をもって断ることをためらわない。それだけでも、その場の損したくない気持ちに引きずられることを避けられます。

漠然とした考えて、中途半端な感覚を頼りに大きな決断をすることは、避けたほうがいいです。場合によっては、結果オーライで問題ないこともあるでしょうが、その中途半端な成功体験が災いして、別の場面で大きな損失をこうむることにもなりかねません。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。