夫が戻ってくると
月間収支は赤字に?
このほか、Aさん夫婦は投資用マンションを2部屋保有しています。
2部屋売却した場合には1000万円程度の収入が見込めるようですが、両方とも売って、上記の1191万円が2191万円に増えたとしても、ご希望の中古マンション代金(2500万円)には約300万円不足します。
また、マンション購入によって保有資産がゼロになってしまうと、引っ越し後の生活が成り立ちません。家財道具の買い替えなどにも対応できません。そのため、家を買った後も約1年間分の生活費が残っていると安心です。
このことを考慮すると、正確な不足額は約300万円ではなく、Aさん夫婦の年間生活費480万円を加えた780万円前後だといえます。
ですので、ご主人が単身赴任から戻ってくる3年後はまだ資金不足であり、マンション購入に適したタイミングとはいえません。
かといって、「いつならマンションを購入できますか?」と問われても、すぐには難しいと答えざるを得ません。
ご主人が単身赴任から戻った後は手当の支給がなくなるほか、所属部署や役職も変わって、給料が大きく下がるからです。
ご主人の手取り収入が「最悪の事態」の25万円になれば、Aさんの収入(手取り15万円)を加えた世帯収入は40万円です。
もともとの月間支出額は40万円であり、今後はこれに加えて「社宅の家賃」の負担が発生するので、毎月の家計収支は赤字に転落します。
もしアルバイトを続ければ
マンション購入は可能だが…
詳細が書かれていないため、家賃の金額はこちらで推測してみます。
ご主人の単身赴任前は4人家族で生活していたことを考慮すると、社宅の間取りは3LDKくらいでしょうか。お住まいが東京都内の可能性を考慮して、ベースとなる家賃は毎月15万円程度とします。
相談文の内容から、従業員家族の負担割合がやや大きいと考えられるので、毎月の支払額はその3割程度、毎月4.5万円と仮定します。この4.5万円がそのまま月間赤字額になるので、年間では54万円の赤字です。
ご主人の賞与(手取り56万円)が支給されるため、年間での家計収支は黒字ですが、その金額はわずか「2万円」です。単純計算で、前述した780万円をためるには390年かかりますので、マンション購入は現実的に不可能です。
一方で、もしAさんがアルバイトを頑張って毎月6万円の収入を継続し、1.5万円の月間黒字額を確保すると、年間黒字額は74万円(※)まで拡大します。
※1.5万円×12カ月=18万円に、賞与の56万円を追加した金額
理論上は、このペースを10年半ほど続けるとマンション購入は可能です。実は、Aさんは「続ける自信がない」とおっしゃっているアルバイトが目標達成のカギを握っているのです。
ただし、Aさんのアルバイトが続くかは分からないので、今回は「ご主人の定年退職まで待ってから、退職金を元手にマンションを買う」というパターンで実現可能性を探ってみます。