怒りはどこからやってくるのか?
あなたは、怒りたくないのに、思わず頭にきて大声でどなってしまったことはありませんか?ひとしきり怒りをぶちまけたあとで、「ああ、やってしまった」と後悔にさいなまれた経験があるのではないでしょうか。
そこで、怒りの根源について考えてみましょう。
怒りは、欲望から生まれます。執着が欲望に、そして欲望が怒りに変わる場面を想像してみます。
ある休日の朝、あなたは用事があって外出しなけなければならなかったとします。あなたはパートナーに掃除を済ませておいてもらいたいと思っていたのですが、帰ってきたら、パートナーは掃除をせずにソファに寝転がってテレビを観ていました。
このとき、あなたの留守中にパートナーが掃除をしないかもしれないと想像していたら、あなたが怒ることもないでしょう。けれども、掃除をしてくれるはずだと期待していたなら、思わずムカッとしてしまいます。あなたがパートナーに不平を言うかどうかは別として、そこには怒りが生まれています。
「こうあって欲しい」という願望をはっきりと意識しないまでも、私たちは、ものごとのなりゆきについて、何かしら期待しているものです。そして、期待どおりに欲望が満たされないとき、私たちは怒ります。つまり、欲望と期待が怒りの原因なのです。
ひとつの欲望が明確になると、私たちは何らかの行動を起こします。たとえば、甘いものを食べたくてケーキを注文する、気分を変えたくて髪を切る、運動不足を解消したくてジムに入会する、といった具合です。
問題は、行動を起こしても、確実に欲望が満たされるとは限らないことです。むしろ、満たされないことのほうが多いかもしれません。ケーキが売り切れているときもあれば、新しい髪形が気に入らないこともあります。ジムに入会した矢先に、遠くへ転勤になってしまう可能性だってあります。
自然災害や事故、時間や距離、自分の言動など、あらゆるものが障害物になります。もし、欲望が満たされない原因が人だったら、怒りはその人に向かいますが、その人が悪いわけでも、間違っているわけでもありません。たまたま、その人が私たちの欲望の実現を邪魔してしまっただけなのです。