中学受験生の中で広がりつつある2ケタ暗算
──表紙に「2ケタ暗算ができて当たり前の時代になる!」と書かれていますが、本当にそういう時代になるのですか?
小杉:実際、このおみやげ算は、新しい知識や情報などに敏感な中学受験生の間で、すでに広まりつつあります。11×11から19×19までのかけ算について、今までは筆算がスタンダードでしたが、それがおみやげ算になりつつある。ですから、まずは中学受験生に広がって、その後に中学受験をしない小学生、そして大人へと広がっていくと考えています。
広がっていくと思う理由は、11×11から19×19までの計算が、筆算よりもかなり素早くできる良さがあるから。そして、本書が刊行されたことで、おみやげ算の存在が広がるスピードがさらに増したからです。近い将来、スタンダードな計算方法になるのではないでしょうか。
──小杉先生は、塾でもおみやげ算を教えているのですか?
小杉:必ずではありませんが、雑談がてら「こういう計算方法があるんだよ」と伝えることがあります。中学生や高校生だと筆算に慣れてしまっている子もいるので、全員が興味を持つわけではありません。「私はいいや」という子もいるので、押し付けるのではなく、知りたがる子に教えています。
でも、おみやげ算を教えて「本当にできた!」と喜ぶ生徒の姿を見るとうれしいですね。身につけた子には、どんどん使っていってほしいです。
おみやげ算をきっかけに、計算を得意にしよう!
──「おみやげ算が算数の苦手を克服するきっかけになれば」というお話がありましたが、他にもおみやげ算を身につけることでのメリットはありますか?
小杉:整数のかけ算をよく出る順に並べると、1番目が九九。そして、2番目が2桁×1桁、もしくは1桁×2桁の計算。3番目に11×11から19×19の計算がきます。頻出の掛け算を暗算でできるということは、授業やテストなどでより速く計算できることになりますから、当然好成績に結びつきます。これも大きなメリットですね。
──この本の巻末には、「おみやげ算マスター認定書」が記載されています。「頑張りましたね」という労いと、「どんどん使ってね!」というエールが書かれていますが、これはどんな思いで入れることにしたのですか?
小杉:途中で投げ出さずに1冊やり切るというのは、非常に価値のあることですし、「自信を持っていいことなんだよ」とお子さんたちに伝えたかったんです。ですから、「『何かをやり抜く』というのは、とても大切なことです」という一文を入れました。
ただ、1冊やり切って、それで本棚にしまってしまうのではなく、できれば月に1回くらいは最後のまとめテストだけでもいいので解いてみてほしいですね。ちゃんと自分の中に定着しているか、やり方を忘れていないか、忘れていたとしたらどこを忘れているのかなどをチェックしてもらえたらと思っています。
【大好評連載】
第1回 【大反響の算数ドリル】17×18を5秒で暗算できる!話題の「19×19までの暗算法」とは?
第2回 たった1日で11×11から19×19の暗算ができるようになる!「子どもの算数嫌いを克服する」すごい本の秘密
第3回 中学受験生に怒涛の勢いで広がっている「11×11から19×19の暗算法」とは?
第4回 【異例の大ヒット】小学生向けの「暗算ドリル」が大人に大反響の理由とは?
東京大学経済学部卒。プロ算数講師。志進ゼミナール塾長。プロ家庭教師、SAPIXグループの個別指導塾の塾講師など20年以上の豊富な指導経験があり、常にキャンセル待ちの出る人気講師として活躍している。現在は、学習塾「志進ゼミナール」を運営し、小学生から高校生に指導を行っている。毎年難関校に合格者を輩出している。算数が苦手な生徒の偏差値を45から65に上げて第一志望校に合格させるなど、着実に学力を伸ばす指導に定評がある。暗算法の開発や研究にも力を入れている。ずっと算数や数学を得意にしていたわけではなく、中学3年生の試験では、学年で下から3番目の成績だった。数学の難しい問題集を解いても成績が上がらなかったので、教科書を使って基礎固めに力を入れたところ、成績が伸び始める。その後、急激に成績が伸び、塾にほとんど通わず、東大と早稲田大の現役合格を達成する。この経験から、「基本に立ち返って、深く学習することの大切さ」を学び、それを日々の生徒の指導に活かしている。著書は『ビジネスで差がつく計算力の鍛え方』『この1冊で一気におさらい! 小中学校9年分の算数・数学がわかる本』(ともにダイヤモンド社)、『改訂版 小学校6年間の算数が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)、『増補改訂版 小学校6年分の算数が教えられるほどよくわかる』(ベレ出版)など多数。