親の過干渉が子どもの「決断力」を奪う

──親の理解がズレていると、子どもたちの学習効率も悪くなってしまうことがあるわけですね。親もよかれと思ってやっているのですが。

西岡:今、少子高齢化が問題と言われているけれど、「子どもが少ない」というのは大人の目線であって、子どもからすると「大人が多い」のです。

 子どもがなにかやろうとすると、いろいろな大人が干渉してくるなんていうことはよくあるんじゃないですか?

富永:三者面談で子どもに「英語は得意?」と質問しているのに、「あ、この子英語はダメで」と親が答えてくる。こんなとき、私は親に席を外してもらいます。

「お金も時間もかけているのに、どうしてわが子は伸びないのだ」と悩む親の気持ちもわかりますが、子どもが主体にならない限り、そうした教育的投資は通用しません。

 他者がどんなにアプローチしても無理なのです。

 今はひとりっ子が多いから、ただでさえ多い大人の関心が、全部その子に集まってしまうんですね。

 子どもにとっては、お金や時間をかけてもらえるという利点がある一方で、恵まれすぎているという弊害もあります。

 習い事の場も、自ら「学びたい」と思う前に用意されている。

 サッカーが好きかどうかの前に、スクールが用意されているんです。

 その分、子どもたちは自分で決める力が弱い。

 だから私は、中学受験を控えた6年生に対して、自分で担当講師を選んでもらうようにしています。

 どの講師なら自分と相性がいいのかといったことを見て、子ども本人が考え、決めてもらうのです。

 どうしても選べないときに初めて私が介入します。