外来で1100~1500円負担増
無料だった入院費は8万円の自己負担に
そのため、国の新型コロナウイルス感染症対策本部は、急激な負担増を避けるために、5類移行後も期限を区切って、通院、入院のそれぞれに、一定の公費負担を続けることを決定。9月末までは、次のような支援を行うこととなった。
●COVID-19の5類移行後の対応(2023年5月8日から)
・外来(通院)…COVID-19の治療薬の自己負担分に対する公費支援を、9月末まで継続する。
経口や点滴によるCOVID-19の治療薬を利用した場合、その自己負担分については、夏の感染拡大への対応として、9月末まで公費負担を継続する。COVID-19の治療薬以外にかかった医療費(初診料や検査費用など)は、他の病気との公平性を踏まえて、公費負担は終了する。
・入院…急激な負担増を避けるために、9月末まで高額療養費の自己負担限度額から2万円を減額する。
他の病気と同じように、入院費や食事療養費にかかる自己負担を求めることとなったが、急激な負担増を避けるために、9月末まで高額療養費の自己負担限度額から2万円を減額する。その後は、感染状況や、その他の病気との公平性を考慮しつつ、必要に応じて検討する。COVID-19の治療薬の費用については、外来同様に公費負担を継続する。
このように、激変緩和措置は取られるものの、5月8日以降は、COVID-19も無料で医療は受けられなくなる。
国の試算によると、70歳未満の人がCOVID-19にかかって通院治療を受けた場合の自己負担額は、5月7日までは2590円だが、5月8日以降は3710~4170円となり、1100~1500円程度アップする(「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の見直し等について(ポイント)」より)。
入院の医療費は治療内容によって異なるが、原則的には高額療養費の自己負担限度額より2万円差し引いた金額と、食事代がかかることになる。たとえば、70歳未満で年収500万円の人が中等症で10日間入院し、COVID-19の治療薬以外の医療費が100万円かかった場合、5月8日以降は、食事代と合わせて8万円程度を自己負担することになる(筆者試算)。
通常、医療費が100万円かかった人の自己負担額(70歳未満で、年収500万円の場合)は、食事代と合わせて10万円程度になる。COVID-19は9月末までは2万円の公費支援があるので、その他の病気に比べて自己負担は少ないが、これまで無料で入院できたことを考えると、5月8日以降は少々痛い出費になりそうだ。