E社労士のアドバイスを聞いたD部長は、すぐにB課長を呼び、Aが昼休みに働いたとされる4日間の業務内容を確認させた。Aへの聞き取りとパソコンのログイン記録、作成した書類などをチェックした結果、昼休み中も業務を遂行していたと認め、欠勤控除はなしとした。さらにB課長には、Aに対して「昼休みは上司の指示があったとき以外は仕事をせずに休憩すること」「上司の許可なく18時前に退社しないこと」などの指導を行うように指示した。そして休憩時間の変更については、近日中に事務所勤務の社員全員からアンケートを取った上で対処することにした。
翌日、Aが休憩室でボーッとしていると、CがAの横に座った。
「しばらく見かけなかったから、てっきり会社を辞めちまったのかと思ったよ」
Aは違うと首を振り、休憩時間が暇だから仕事をして早く帰ろうとしていたことをCに話した。そして同期は全員工場勤務だし、管理課の上司や先輩たちは皆普段から口数が少なく自分のことを気に掛けてもらえないので、話す相手がいなくてさびしいとこぼした。
「そりゃあかわいそうだ。実は俺、5月から工場長になるのよ。何だったらA君を工場に引っ張ってあげるよ。ただし場所が埼玉の外れだから、社宅住まいになるけど。それでもOK?」
「ぜひ、お願いします。早く同期のみんなに会いたい。ヒマな昼休みとはこれでオサラバです!」
AはCの提案を快く受け入れ、頭を下げた。Cは「よっしゃ、決まりだ」と言い、すぐにD部長に話を通すことを約束した。
※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため社名や個人名は全て仮名とし、一部に脚色を施しています。