短時間で成果を出している人がいる一方、頑張っているのに成果が出ない人もいる。この違いは何だろう? 経営の最前線で20年以上、成果上げられる人と上げられない人の差を徹底研究してきた人物がいる。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の木下勝寿社長だ。「20年に一冊の本」とミリオンセラー会計士に絶賛された『売上最小化、利益最大化の法則』に続き、「やる気に頼らず楽しく続けられる」と話題となっているのがベストセラー『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』だ。【がっちりマンデー!!】(TBSテレビ系)のSNSで、「ニトリ」似鳥会長と「食べチョク」秋元代表から「2022年に読んだオススメ本3選」に選抜され話題となっている。本稿では、本書より一部を抜粋、「最短時間で最大の成果を出す方法」を紹介する。

成功確率が一目でわかる【理論上成功する設計図】の法則とは?

理論上「成功する設計図」の書き方

 前回まで目標達成する方法を紹介してきたが、さらに具体的に物事を達成する方法を見ていこう。

 物事を成し遂げた多くの人は、ただ単に「目の前のことをがんばっていた」だけではない。

 明確な目標を設定し、具体的な計画を立て、日々実行している。

 何の計画もなく家を出て、なんとなく歩いても、近所の裏山のてっぺんにたどり着くことはあっても、富士山の山頂にたどり着くことはない。

 ある一定以上の成果を出すには十分な準備と計画が必要だ。

 これは仕事でも同じである。

 目標を達成するには具体的な計画が必要なのだ。

 成果を上げるには、「理論上成功する設計図」を書き、それと現実とのギャップを埋めていく。

 営業で新規のお客様を今月100件獲得する場合で考えてみよう。

1 設計図の作成

 まず設計図を書く(▼図表9―1)。

 作戦A~Dがすべてうまくいけば200件獲得できる。

 目標件数の2倍の数字だ。

 しかし、これで喜んではいけない

 各作戦の具体的なアクションとその作戦が成功しそうな確率を冷静に判断して入力する。

 そして、想定数と成功確率を掛けると見込数が出る。

 今回の場合、見込数の合計は57件となり、目標の100件には43件足りない。

 たくさんの作戦を用意しても、それぞれの成功確率が低ければ、いくら作戦があっても足りないことがわかる。

 そこで作戦E~Gを追加し、見込数を100件以上にする。

 これで、「理論上成功する設計図」が完成した。

 月初に、これができていなければならない(▼図表9―2)。

成功確率が一目でわかる【理論上成功する設計図】の法則とは?

2 作戦の実施

 月が始まり5日が経った段階で、作戦A~Cを実施した結果は次のとおり。

A:完全に失敗→成功確率0%に書き換え
B:30件の想定だったが10件にしかならなかった→成功確率33%に書き換え
C:完全に失敗→成功確率0%に書き換え

 このままだと見込数合計が30件足りないとわかる(▼図表10)。

成功確率が一目でわかる【理論上成功する設計図】の法則とは?

 もう5日前とは状況が違うのだ。作戦の立て直しが必要だ。

3 作戦の変更

 そこで案H~Oを追加して見込数100件を維持する(▼図表11)。

成功確率が一目でわかる【理論上成功する設計図】の法則とは?

 これが維持できなければ目標達成は無理だ。

 作戦を実施すると見込数が変動するが、目標の100件を切ったら1日以内に新たな作戦を追加する。

 ただし、新たに追加した作戦は小粒になることが多い。

 小粒なので施策案が多くなる。

 見込数を上げる方法は2つある。

施策案数を増やす」か「施策の成功確率を上げる」かだ。

 たとえば、案Iの想定数は20件だが、成功確率は5%しかないので、見込数が1件だ。

 これは作戦F(想定数60)の成功確率を30%から32%に2%引き上げるのと同じだ(▼図表12)。

成功確率が一目でわかる【理論上成功する設計図】の法則とは?

 時と場合によるが、成功確率が5%しかないものに新たに時間を割いてチャレンジするのは非効率だ。

 そこで小粒な案I~Oをすべて却下し、作戦Dの成功確率を20%から30%に、作戦Fの成功確率を30%から40%に引き上げる方法を考えることに頭を使う。

 そして、このとき成功確率を上げるための具体的な施策を記述する(▼図表13)。

成功確率が一目でわかる【理論上成功する設計図】の法則とは?

 このように、限られた時間を「新しい施策の立案」の実行に使うか、「既存施策の成功確率を上げる」ことに使うべきかを考える。

 多くの人は「施策案がたくさんあればどれかが当たる」と安心してしまう。

 しかし、施策案が多すぎると、期限内に実施しきれない。

 また、冷静に施策案の成功確率を考えると、それでも案が足りなかったりする。

 大切なのは「施策案数」ではなく「想定数」と「成功確率」を掛けた「見込数」だ。

「毎回必ず達成する人」は進捗状況によって、必ず見込数が達成する数字を維持している。

 この方法をマスターすると、どんな物事でも達成できる。

 成功するには「理論上成功する設計図」を描き、それと現実とのギャップを常に埋めていくことだ。

 今日やるべき仕事を決める際は、目標と期限から逆算して優先順位を毎日見直す。

 多くの人は「昨日の続き」をやろうとするが、それは「仕事」ではなく「作業」だ。

 なぜなら、仕事とは目標を達成するためにやるものだからだ。

 あなたは今日1日を仕事に費やしているか?

 それとも作業に費やしているか?

 これを、いつも頭の片隅に置いておくだけで、成長スピードが加速するだろう。

(本稿は『時間最短化、成果最大化の法則』の一部を抜粋・編集したものです)