マーケットの構造的な「不」を解決する
リクルートのビジネスモデル
リクルート リクルート経営コンピタンス研究所コンピタンスマネジメント推進部部長。 リクルートに2007年入社。事業開発室のフリーマガジン『R25』編集部に配属。10年、Media Shakersに出向し、『R25』デジタル関連メディアの立ち上げやプロモーションに携わり、『R25』編集長、メディアプロデュース部長、営業部長、事業開発室長などを歴任。17年よりリクルート経営コンピタンス研究所に異動し、ナレッジマネジメントに携わる。20年より現職、リクルート横断のナレッジ共有イベント「FORUM」の責任者に。兼業でインフォグラフィックメディアZUNNYの代表を務める
島雄輝(以下、島) 私は、リクルート経営コンピタンス研究所に所属しています。ここは、主務8人によるナレッジマネジメントの組織です。
各現場の20人ほどのプロフェッショナルが他部署と兼務しながらコミットしていたり、60人ほどの最前線の人がサポートメンバーとしていてくれたりというところで、「経営企画と人事の遊軍」と自称しています。
当研究所は、コアコンピタンス、つまり、リクルートの競争優位性などをアップデートし続けることがミッションです。
人事の視点から見ると、次世代経営者の育成、経営の視点から見ると、経営理念のアップデートや現場戦略の実行支援などがあり、常に社内の組む相手、パートナーを変化させながら、さまざまなバリューを発揮させるべく動いています。
リクルートは、ITを活用した多様な規模・領域のサービスで、カスタマーとクライアントの不安・不満といった「不」の解決と、快・好・楽といった「欲」の実現に挑戦し続けています。
リクルートというと、おそらく皆さん『リクナビ』『ホットペッパーグルメ』『じゃらん』といったマッチングサービスを想起されるでしょう。こうしたマッチングビジネスのことを、我々は社内で「リボンモデル」と呼んでいます。
個人ユーザーとクライアント企業のベストマッチングを実現する、一気通貫のビジネスモデルというわけですが、個人ユーザー、クライアント企業の双方にチャネルを持つ強みを生かす。その結果、マーケットの構造的な「不」を解決するビジネスモデルです。
このビジネスモデルでは、「集める・動かす・結ぶ」と役割を定義し、それぞれに計画値を設定しています。そして検証し、磨き続ける。これがリクルートの強みの一つです。さまざまな数字を計測し、徹底的にKPIをモニタリングする。そして全体像を把握しながら、改善していく。
今のデジタル時代では当たり前のことかもしれませんが、雑誌、フリーペーパーの時代から数字を計測し、その数字に基づいたチャレンジと修正をしていくということを、当たり前のように行ってきました。
リクルートのリボンモデルを推進するための型も存在します。それが、「コミュニケーションエンジニアリング・フロー」と呼ばれるものです(下図参照)。
ざっくり言えば、誰のどんな「不」を解決するのか、どうやって「新しい価値」を創るのか、そしてどうやって「もうかる仕組み」を組み込むのか。
この3つの設計については、さまざまな事業フェーズや領域ごとに違いはありますが、その型と勘所について、OJTに加え、リクルート経営コンピタンス研究所を中心として現場に伝承していっています。