ある日の、預金担当課朝礼の風景。締めの私が発した小言に、全員が失笑した。ストレスチェックという主旨なので、管理職の私であっても、部下がキチンと修了したかどうかを調べることはない。ひたすら人事部からの報告を待ち、修了率が未達成であれば、支店長から課長の私へ叱責が飛んでくる。だから、この時期は特殊なストレスがたまるのだ。締めの発言の半分は冗談だが、残り半分は紛れもない本音である。
2015年12月に改正労働安全衛生法が施行され、50人以上の事業所では全従業員が毎年1回ストレスチェックを受検することが義務付けられ、50人未満は努力義務となった。目的のひとつは、集団分析である。部署ごとの業務負荷状況や、集団のストレスの傾向を把握し、業務量・人員調整・業務手順の見直しなどに役立てるというもくろみだ。
結果は支店長に還元され、支店で毎月開かれる衛生委員会(労働安全衛生法に基づき、労使一体となって、健康障害の防止や健康の保持増進に取り組む委員会のこと)で発表される。そこで、支店長お決まりのコメントが発せられる。
「思った以上にストレスを抱えている者が多い。管理職は、もっときめ細やかに配下の話を聞いてやれ。大事なのはコミュニケーションだな」
これは、指示を出しているようで何の意味もない。ストレスの原因はどこにあるのか、経営陣が取り組むべき重要なタスクをすっかり放棄し、中間管理職に責任を丸投げしているにすぎない。皆さんの職場にも、こんな経験はあるだろうか?
みなとみらい支店では
150人中4人がメンタルを理由に休職
ストレスによる休職者は多い。我が行全体での人数は把握できていないが、私が在籍するみなとみらい支店では、従業員150人のうち4人がメンタルを理由に休職している。
この割合がそのまま我が行全部署の休職者比率となるわけではないが、多忙な支店や部署、支店長や上司のパワハラ、職場の雰囲気や人間関係、業務内容だけがメンタルに影響しているとは一概にはいえない。家庭環境や恋愛関係といったプライベートに関することが原因かもしれない。ただ、銀行は何かと心理的ストレスが多いことは間違いない。
ダイヤモンド・オンラインの記事『「体に悪い会社」実態調査、うつ・不眠症・胃炎が蔓延するのはこんな職場だ』では、全国の男女ビジネスパーソン200人へ「健康被害」に関するアンケートを実施している。