日々の忙しさ、焦り、不安……などからメンタル不調に陥る人は多い。そんなときに必要なのはメンタルを鍛えることより、ありのまま自分を受け入れる「自己認識」や「自己感受」の習慣である。その最もシンプルな実践が「書くこと」だ。
そこで、『書く瞑想――1日15分、紙に書き出すと頭と心が整理される』の著者で、5万人以上を変えた習慣化のプロ・古川武士氏が、読者から寄せられた悩みや疑問にお答えしながら、「書くこと」で心を整え、自分を回復するコツを紹介していく。
中高年がキャリアチェンジするには?
[質問]
今の組織から、新しいキャリアの転換や再スタートに踏み出したいです。しかし、年齢を言い訳に動けず、悶々としています。どうすればいいでしょうか?
「価値観キーワード」で始める棚卸し
[回答]
これまで組織で20年間、30年間勤め上げてきた人にとって、キャリアチェンジはリスクも大きいですし、年齢的な制限もあり、容易ではありません。
だからこそ、しっかりとこれまでのキャリアを棚卸して、価値観や情熱に合う仕事を選びながら、新しいキャリアを描きたいところです。
お勧めは、過去の仕事において「やりがいを感じた仕事」「やりがいを感じなかった仕事」を書き出してみることです。そしてその理由を分析して書いてみてください。すると、根底にある「価値観キーワード」が出てきます。
自分を客観的に見つめられる「価値観マップ」
『書く瞑想』では、「価値観マップ」というものを紹介しています。これは「自分にとって大切なことは何か?」を言葉にしながら、自分の内的価値観を可視化していくものです。
書き方は自由ですが、ノートにキーワードや図で表現していきます。たとえば、同書では次のような事例を紹介しています。
「価値観キーワード」がわかると、次の転職やキャリアチェンジをするときに、自らの価値観に合うかどうかを客観的に見ることができます。
書くほどに「やりがいの源泉」に近づく
長くキャリアを重ねて来られた方は、分析する材料は豊富なはずです。これを洞察してキーワードを書き出していくと、「自分にとって何が大切なのか?」「仕事において何を大切にしたいのか?」が少しずつ見えてきます。
結果的に、転職面接に行くにしても判断基準が明確ですし、今の会社に残るにしても、どのような仕事をしたいのかを適切に上司に伝えることができます。
この「価値観マップ」は月に1回書くことをお勧めしています。書くほどにフェルトセンス(感じる知性)が高まり、より自分のやりたいこと、自分のやりがいの源を見つけることができます。