子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では本書の内容から、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。
【13歳~】夏休みの過ごし方は子どもの将来を左右する
これまでの連載で、カンフォトゾーンから脱出させることが、子どもの成長を促すとお伝えしました。
この挑戦をいつさせるべきでしょうか?
最適なのは、夏休みや冬休みなどの長期休みです。
欧米のティーンエイジャーは、男の子であれ、女の子であれ、夏休みになると「サマーキャンプ」に参加します(というよりも、強制されます)。
サマーキャンプとは、世界中から集まってきた子どもたちが、大自然の中で数週間、集団生活を送るアクティビティです。
親元を離れ、身のまわりのことをすべて自分で行なう経験は、子どもの自立を促し「自信」と「責任感」を大きくしてくれます。
サマーキャンプの多くは、テレビもゲームもインターネットもない環境です。
この環境を楽しむためには、友だちとトランプをしたり、自然の中で遊んだり、新しい遊びを工夫して発明していかねばなりません。
つまり、必然的に「人と関わること」が必要になってくるのです。
サマーキャンプへの参加を通して子どもが得られる最大の恩恵は、「新たな友との出会い」です。
世界中から集まってきた仲間と交流することで、異なる価値観と出会い、これが子どもにとっての財産になります。
いつもとは違う仲間と切磋琢磨する経験が自信を大きくする
サマーキャンプだけでなく、スポーツや音楽などに真剣に取り組んでいるティーンエイジャーであれば、夏休みには合宿制のキャンプがあります。
たとえば、6週間のサッカー合宿。世界中から集まってきたサッカーが得意な子どもたちと共同生活をしながらサッカー漬けにさせます。
この中で、子どもは自分のレベルはどの程度なのか、もっとうまくなるにはどうしたらいいのか、自分の技能を客観的に知ることができます。
演劇をしている子であれば、4週間の演劇合宿に参加。世界中から集まってきたダンスがうまい子、歌がうまい子、演技がうまい子たちとともに一つの舞台をつくり上げていく経験は、子どもの持つ「強み」を「確信」にしてくれます。
これは海外だけの事例ではなく、最近は日本でも夏休みに多くのサマーキャンプやスポーツ合宿が開催されるようになりました。
試しに、インターネットで検索をかけてみてください。さまざまなプログラムが見つかるはずです。
親から離れること、普段とは違う環境で新しい仲間と過ごす経験は、必ず子どもを一回り大きく成長させます。
「女の子を一人で外に出すのは心配」というご両親は、家から通える範囲で普段と異なる人たちと関わる機会を与えてください。
町内ボランティア、アルバイト、職場体験、子ども会の手伝い、何でも構いません。学校の仲間とは異なるグループの人(性別、年齢とも)たちと交流する経験は必ず自信を大きくしてくれます。
中学から高校卒業まで、夏休みはたったの6回しかありません。
子どもの「強み」を中高6年間で最大に引き上げるにはどうしたらいいのか、受験や将来の夢も考慮しながら、どんな活動に参加させたらいいのか、親子で計画を立てましょう。