30日の4社共同会見でも、佐藤トヨタ社長は「我々が日野を支えることに対する限界もあると正直思っている。我々にない強みをダイムラートラック、三菱ふそうに借りながらより良い日野自をつくっていく」と語っている。
日野自は、4月26日の決算発表の場で、独フォルクスワーゲン(VW)傘下の商用車メーカーであるトレイトンとの戦略的提携の解消を発表しているが、これも独・欧州でVWとライバル関係にあるダイムラートラックとの提携に乗り換えることが念頭にあったのだ。
日野自サイドの経営不振が両社統合への背景にあるのは間違いないが、一方の三菱ふそうサイドとしても、親会社のダイムラートラックのグローバル戦略・CASE戦略においてトヨタグループとの提携は意に沿うものであり、メリットが多い。
さらに、いすゞがUDトラックスを傘下に収める中、仮にバス事業を合弁化している日野自といすゞが連携を強化しようとすると、三菱ふそうが孤立する恐れがあったこともある。つまり、いすゞ・UDトラックス連合が日野自とも組むことになると、「3社対1社(三菱ふそう)」となるわけで、単独では対抗しきれないというわけだ。
もっとも、仮に3陣営連合となると、商用車市場の独禁法にも触れることにもなりかねず、ハードルがあった。監督官庁である経済産業省は、日野自と三菱ふそう統合の動きを「競争力を高め、国際市場で大きな存在感を持つことを期待したい」(西村康稔経済産業相)と、歓迎するコメントを述べている。ちなみに三菱ふそうトラック・バスの松永和夫会長は、元経産省事務次官で事務方のトップを務めた大物である。