過去から未来をつないで、腹落ちをするように

佐宗 会社の歴史の深掘りから始めるのは、ビジョンづくりの王道ですよね。それこそがまさにセンスメイキングです。未来に向かうビジョン・ドリブンだけでは不十分で、むしろ過去や現在が未来と自然につながっていないと、「だから、今これをやっているんだな」という腹落ちが生まれませんからね。

入山 そうなんですよね。僕も、パーパス・ミッション・ビジョンがとにかく大事で、同時にセンスメイキング理論が重要だと考えています。その意味でも、過去を考えるのは重要ですが、一方で、未来も5年、10年といった近い未来でもダメなんです。でもなかなか長期のことを考えられませんよね。それは日本の会社のトップのオーナーシップが弱いことに理由があると思います。僕はこれを日本企業の大きな課題だと考えているのですが、多くがサラリーマン社長で任期が内規で2年、4年などと決まっているんですよね。だから僕はそういう会社は、基本はサポートしないことにしているんです。

佐宗 だから先生の支援する会社は、オーナー系の会社が多いんですね。

入山 そうなんです。「社長は絶対に諦めるな、責任を未来に持て」と言っています。一度、支援している会社のトップに「10年先の未来を思い描きたいから手伝ってほしい」と言われたんです。でも、10年先なんてまだまだ生きているから意味がないんじゃないですかと伝えました。死んでいるか、せめて辞めているかして、我々がいなくなった後に今の若い人がいかに世界を幸せにしているかをお考えないと意味がないと思うんですよ。それで30年後のビジョンを考えることになりました。僕たちは過去からの祖業と、自分たちの死後の未来をつなぐ役割なのだから、バトンをつなぐ感覚が大事ですよね。

「過去」を使い倒せば、企業は大きく変わっていける

(第4回に続く)