かつて松下幸之助や稲盛和夫など、一部のカリスマ経営者の下で実践されてきた「理念経営」だが、いまでは時代感覚にすぐれた人・組織が、ここに大きな可能性を感じているという。実際、注目のキーワードとなった「パーパス」のほか、自社の「ミッション・ビジョン・バリュー」「カルチャー」の見直しを進める企業も多い。
しかし「どこから手をつければ…」と途方に暮れている人・組織も少なくないだろう。そんな悩みを抱くリーダーたちにおすすめの書籍が、株式会社BIOTOPE代表・佐宗邦威氏の著書『理念経営2.0』だ。「本書を読んでいて途中から嫉妬を覚えました」(山口周氏)、「世界で初めて理念経営の諸概念を体系化した本」(入山章栄氏)と絶賛のコメントが寄せられている同書では、「自社らしい企業理念をつくり、それを確実に活かしていくための具体的な方法論」がわかりやすく説かれている。
本稿では、同書より一部を抜粋・編集し、「ミッション、ビジョン、バリューといった言葉の意味」をわかりやすく解説する。

【説明できますか】ミッション、ビジョン、バリューのちがいとは? わかりやすく解説するPhoto: Adobe Stock

企業理念に関する「ややこしい用語」たち

 企業理念に「近づきがたさ」がある1つの要因は、その用語群のややこしさだろう。

 最近では、ビジョン(Vision)、ミッション(Mission)、バリュー(Value)などに加えて、パーパス(Purpose)などという言葉も注目されるようになっている。すべての企業がこれらの4つをすべて定めているわけではないし、それぞれがどういった関係にあるのかも、はっきりわかっていない。

 ミッション、ビジョン、バリューを並べてMVVなどと省略している例があるが、逆にビジョン、ミッション、バリューの順に並べている会社もあったりする。

「群れ」を崩壊させない3要素──渡り鳥の比喩

 それにしても、なぜ、企業理念がこの3つでなければいけないのだろうか? じつのところ、これには合理的な理由がある。

 それを理解していただくために、まずは「渡り鳥の群れ」を想像してみてほしい。渡り鳥の群れとこれからの企業のあり方は、いくつかの点においてよく似ている。

 僕らはそれぞれ、別の意思を持った個として生きながらも、1つの組織をつくっている。時には組織の向かう方角が急激に変わったりするが、それでもバラバラになることなく進み続けなければならない。このような変化に対応するためのメカニズムは、渡り鳥が群れを成して遠い目的地まで辿り着くやり方と同じだ。

 群れをつくって飛ぶ渡り鳥のリーダーはその時々に応じて変わる。群れは個々の鳥の集合体でしかない。それなのに群れ全体としての意思を持っているかのように、目的地まで進むことができる。

 このようにバラバラな個体が群れとして活動するには、どんなメカニズムが必要だろうか。研究によると、彼らのDNAには次のような3つの原則が刻み込まれているという。

 ①方向感覚──これからの行き先がわかっている感覚
 ②距離感覚──周囲の鳥に対して適切な距離を取る感覚
 ③中心感覚──自分たちの群れの中心に向かう感覚
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