明日の日曜日は2人で休んで、
一緒にサウナへ行こう!

 5月下旬の土曜日。AとBはいつものように休憩室で並んて昼食を取っていた。先に食事を終えたAはBに話しかけた。

「明日は日曜かあ。今週もあっと言う間に終わりだな」

 Bは不機嫌な声で返した。

「どうせ明日も仕事。俺達さ、4月10日から今日まで全然休みがない。他のメンバーは皆週休2日なのに不平等だ。もう疲れたーっ!」
「でも新しいメンバーが入る予定もなさそうだし、当分はこの状態かなあ……」

 2人は深いため息をつき、沈黙した。その後、Aがある提案をした。

「いっそ明日2人で仕事を休まない? 俺たちには休息が必要だよ」
「いいね! でもC課長に怒られないかな……」
「今日話せば絶対『ダメ』って言われるから、明日の朝連絡しよう。日曜って本来は休みなんだから、仕事なんてしなくてもいいんだよ」
「よし、決まり! ところでA君、明日の予定は?」
「久しぶりに自宅近くのスーパー銭湯でまったりするよ。オートロウリュウのサウナが気持ちいいんだ。一緒に行こうぜ」

 次の日の朝、AとBはそれぞれC課長に「今日は休みます」と連絡を入れ、スーパー銭湯の入り口で待ち合わせた。大浴場にゆっくり浸かりサウナで整った後、室内の食事処で生ビールのジョッキを片手に、会社やC課長の悪口を言い合って盛り上がった。すっかり酔いが回ったAは、大声で宣言した。

「明日出勤したら、C課長に『日曜ぐらい休ませろ!』って言ってやる。もし希望が通らなかったら、D部長に直訴だー!」

休日出勤すれば、
その分手当が出るんだからいいじゃないか

 月曜日。出勤したAとBは、そろってC課長から呼び出されて叱責された。

「君達そろって昨日休んだけど、遅れた仕事をどう取り戻すつもりだ!」

 Aは言い返した。

「しかし課長、自分たちは1カ月半以上、全然休みナシですよ」
「それは私だって同じだ。だから君達には、休日出勤した分はちゃんと手当を払っているじゃないか。自分は管理職だから、休日に働いても手当はビタ一文出ない。君達がうらやましいよ」
「手当より、日曜休みを下さい。じゃないと身体が持ちません」

 Aの反論にBも頷いた。しかしC課長は聞く耳を持たず、仕事が遅れることを気にして、文句を言うばかり。これ以上話してもムダだと思ったAとBは、その足で総務部のフロアに出向いた。