中国人材に警戒する日本企業も
ある消費財メーカーが採用したのは、J氏が説明するような「日本育ちの中国人材」だ。
「日本語ネイティブであり、顧客満足度の追求など日本の習慣を熟知している」と高い評価を与えている。一方で、近年来日した中国人留学生については「米中関係の悪化もあり企業によっては採用を迷い、香港や台湾の出身者に関心を示すところもあります」(消費財メーカーのK氏)と話す。
最近は、ある研究所のデータを中国人が漏えいする事件が報道された。ちまたでは「中国には『国防動員法』があるため、有事の際は日本在住の中国人も動員の対象となり中国の戦闘員になる」などといった懸念がまことしやかにささやかれている。業界によっても異なるが、一部の日本企業は採用の扉を大きく開けられずにいる。
中国から逃避行をして日本の就活に挑んだものの、中国にいても就職難、日本に来ても就職難…。中国人留学生にとってはどちらに転んでも厳しい現実が待ち構えている。
しかし、彼らは転んでもただでは起きない。「自ら日本で起業する」という最終手段も散見されるのだ。艱難辛苦を舐めながら、隣国の日本で強い経営者として、のし上がっていく――。彼らの“打たれ強さ”には脱帽するしかない。