受験生にとっては「天王山」と言われる夏休みが目前に迫っています。それなのに、お子さんの成績が今ひとつ芳しくない、あるいは伸び悩んでいる……。そんな方は、お子さんの「ノート」の使い方を見直してみるのもひとつの手です。約20年間、2000人以上の受験生を指導してきた中学受験専門のカリスマ家庭教師・安浪京子先生は「ノートをひと目見ると、その子の学力や伸びしろがわかる」と言います。ノートとは、思考を整理して、それを自分や相手(採点者)に伝える基本の道具。しかし、子どもはもちろんのこと保護者ですら、ノートの価値を低く見積もって正しい使い方を知らないために、受験勉強で伸び悩んでいる子は多いのです。安浪京子先生と4人のベテラン講師が、中学受験生に向けて、数・国・理・社の4教科の正しいノートの作り方を解説し、「こんなちょっとのことで本当に点数があがるなんて!」との感激の声が寄せられている話題の書籍『中学受験必勝ノート術』の中から、一部を抜粋し、ご紹介していきます。(本書をさらに詳しく紹介した動画もチェック!)

【中学受験】<br />「計算ミス」「不注意ミス」を連発する子の共通点OKノートのイメージ。アウトプットの基礎となるノートの書き方を間違っている子は多い。「中学受験必勝ノート術」より。

ミス多発の原因は……?

 受験においては、ほとんどの子が解けないような難しい応用問題に正解するよりも、皆が正解できる計算問題や簡単な一行題を、絶対に落とさないこと、のほうが優先度が高いです。

 でも、親御さんが何回言っても、単純な計算問題を落としたり、分かっているはずの一行題を不注意で間違えたりする子は多いですよね。そんな方は、お子さんの日頃の「ノートの書き方」に注目してください。

 不注意のミスを連発する子は、だいたい、ぎゅうぎゅうに詰めてノートを書いています。
 算数の場合、ノートには式や計算、線分図、図形など、いろいろな情報が入り混じります。それがぎゅうぎゅうに書かれていると「この計算式はどの問題を解くためのものなのか」「数字がいっぱい並んでいるけど、結局答えはどれなのか」「線分図に書かれた数字は何なのか?」などが全く分からなくなります。

 そこで大切になるのが、見やすく書くことができるための「余白」です。算数の場合、基本的にはページを次のように使います。

左端:問題番号
真ん中:式や図形などと回答
右:筆算

 子どもは式と計算をごちゃごちゃにしていることも多いので「式と計算(筆算)は別」ということを徹底させましょう。また、問題と問題の間は必ず1行以上空けあけて、きりのいいところで次のページに移りますが、間違いの多い子は右ページを全部直し用に白紙で空けてもよいでしょう。
 
意外なことに6年生でもこの基本ができておらず、狭いスペースでぐちゃぐちゃと問題を解いている子は多いです。

 塾の中にはプリント式やテキストに答えを書かせるところもありますが、私はあまり賛同できません。なぜなら、算数の問題はその複雑さや難易度によって必要なスペースが異なります。書き込み式だとそういったことを一切配慮せず均等に回答スペースが割り振られているので、仕方なくツメツメで書いたり、途中から文字を小さくしたり、端折って書いたりする悪い癖がつきかねません。ですから、プリント式やテキスト書き込み式の塾であってもまずは、是非ノートを作ってください。

 実際のテストではもちろん、式や計算を書くスペースは限られていますが、ノートで培った自分にも他人にもわかりやすい「書き方」を意識することで、劇的に点数があがります。
 問題用紙に解くスペースがある場合は、ノートと同様、各問題の下に「左上から式、右のスペースに筆算」を書きます。計算用紙がある場合は、どの問題を解いたのかがわかるように問題番号を必ず書きます。問題用紙や解答用紙にスペースがなく、計算用紙もない場合には狭いところに無理やり書くのではなく、解答用紙や問題用紙の裏を計算用紙として使うことをおすすめします。

「ノート術」は中学受験はもちろん、大学受験やその後の人生でも、“一生使えるアウトプット術”の原点です。「中学受験必勝ノート術」を参考に、ぜひお子さんに教えてあげてください。

*本記事は、「中学受験必勝ノート術」から、抜粋・編集したものです。